【第877回】 の御霊と「え」の言霊

大先生の教えに従ってフトマニ古事記の修行に入っている。これまで布斗麻邇御霊と五親音の言霊で技をつかう稽古をしているが、これまで七つの御霊の内のの五つの御霊とアオウエイの言霊の内のアオウの三つの言霊で技と身体をつかえるようになった。
これによってこれまでの技とは大きく変わり、自分が求めていた合気道の技になってきたように実感できるようになった。天と地と結び、天地の力(気)で技を掛けていると実感するのである。また、稽古相手の反応も大きく違ってきたのである。
しかし、まだ、十分ではなく何かが欠けていることを感じるようになってきたのである。例えば、片手取り呼吸法で相手が掴んでいる手を腹と足で内側に返すまではいいのだが、そこから外側に返す際に相手の力とぶつかってしまい、持たれている手が動かなくなってしまうのである。

この問題を解決するには二つの解決策があることが分かってきた。
一つは、掴まれた手を縦横に規則的につかうことである。この場合、手を内に横に返し、そして縦に上げ、横に返さなければならない。つまり横⇒縦⇒横につかわなければならないところを横⇒横に返しているのである。これは以前に書いたので、後は省略する。
二つ目である。これは新しい事なので詳しく説明したいと思う。
その解決策を簡潔に云えば、胸で息を引き、胸中で息(気)を横、縦につかうのである。つまり、布斗麻邇御霊のである。具体的な息づかいは、までは腹で息を吐く○(水)で手と体をつかうが、手を縦に返すところからは胸で息を引く□(火)で手をつかわなければならないのである。胸に息を入れ、胸中の気を横に開き、そして縦するのである。胸に息(気)を入れる際は、胸が開くと共に手(腕)が延び、気が縦に下りる際は手の平に気が満ち、その手は歌舞伎の見得を切る姿形となる。
これをあおうえいの五親音(言霊)の内の“え”でやるのである。
その手の姿形を、過って本部道場で教えて下さっていた有川定輝先生の手姿と歌舞伎の見得で下記に示す。

これで七つの布斗麻邇御霊の内の六つ、五言霊の内の四つまでつかうことができるようになったわけである。これまでの経験上、あと一つづつ残りがあるわけだが、恐らく技をつかっている内に必ず問題が起こるはずである。そしてその問題を解決できるのが、その残りのと言霊「い」であるはずである。
合気道の技づかいは非常に繊細であることが改めて分かってくる。