【第868回】 三位一体と「うぶす」の社の構え

技を練って合気道を研鑽しているつもりだがまだまだである。いい技が出るように稽古をしているのだが、なかなか思うようにならない。自分が上手くいったと感じても、受けの相手が納得していないようなのである。自分が満足するような技と体をつかうだけでは不十分で、やはり相手も納得するような技にならなければならないと再認識したとことである。
そこでどうすれば己も相手も納得できるようになれるかを考えてみる。一霊四魂三元八力、フトマニ古事記、水火陰陽十字などなどでつかってきた己の技と体を、受けの相手にどのように活かしていけばいいのかということになろう。つまり、これまでは自分主体の技づかい、体づかいであり、受けの相手を疎かにしていたということだと思う。

そこで相手を納得させ、相手と一体化しなければならないと考えた。相手と触れた瞬間から、相手に密着し、離れず、繋がることである。気による引力による密着と遠心力と求心力による繋がりである。これで二者は一体になり、一人の如く動くことになるわけである。

相手と一体化するためには受け(攻撃側)の相手が納得してくれなければならない。相手が納得するというのは、相手が納得せざるを得なくする事である。相手が納得せざるを得なくなるのは神や大自然、そして宇宙の意志、営み、働きなどであろう。
これらの働きの中に、自分自身と相手を入れてしまえば二者の一体化が図れるという事になるわけである。

これまでのことを振り返ってみると、上記の二つのことは不十分であったと思えるし、相手との一体化も不十分であったことは当然だと思う。例えば、相手の攻撃を捌く手の出し方や体の構えなど、それほど気にしていなかったし、どうすればいいのかも分からないままでいた。その為、強靭な力は出ないし、体も思うように動かなかった。これまでに分かった事は、技も体も宇宙の営みに則り、その法則でやらなければならないということである。手の出し方や体の構えにも法則があるはずなのである。

それはやはり大先生の教えの中にあった。大先生は次のように言われている。「西北(乾)は物と心の始まり、西と東北(艮)はこれに順じて三位一体となります。左足を軽く天降りの第一歩として、左足を天、右足を地とつき、受けることになります。これが武産合気の「うぶす」の社の構えであります。」(合気神髄P68,69)

この中に次のような重要な教えがある。

いい技をつかうため、相手も納得してくれるような技を産み出すためには、やるべき事があるということである。ここではそのひとつとして「三位一体と「うぶす」の社の構え」があるということである。やるべきことはまだまだあるはずだから、それを見つけていかなければならない事をまたもや思い知らされた次第である。