【第863回】 仙骨の不思議
これまで仙骨について何回かにわたって書いてきた。仙骨を意識し、つかう稽古をした結果、仙骨の働きの重要性がますます実感するようになり、合気道の技をつかう際には必須であることも再認識するようになった。合気道の技は魄の力ではなく、その魄の力をふりかえた魂の力をつかわなければならないが、そのためには仙骨に働いてもらわなければならない事を確認できた。
合気道の技づかいで、仙骨は神(魂)を表に出すためには必須であるわけであるが、技以外、合気道の世界以外、一般社会生活においても重要であり、また、摩訶不思議な働きをしていることが更に分かってきたので記すことにする。
- 固くて曲がらない体の箇所を曲がるようにできる。典型的な箇所は股関節である。両足を床に開いて床に胸をつける動作である。体を下ろしたとき途中で止まってしまうが、仙骨に息をいれてつかうとそのロックが外れ、更に下に下りる。後は筋肉が柔軟になれば更に落ちるので、繰り返せばいい。ロックが掛かった状態では決して下に下りないし、無理にやれば体を壊す。尚、興味深いのは、ロックが外れると、体が下に下りるわけだが、そこで仙骨を感じず、仙骨が消えてしまうのである。仙人のように消える感覚である。これが仙骨の“仙“に相応しいと思う。
- 骨や筋肉がつっぱって痛い個所を仙骨がほぐしてくれる。首や肩等が痛くてつっぱっていれば、そこと仙骨を結び、仙骨に息を入れるとつっぱりが消える。仙骨の不思議な力、働きである。
- 体のふらつきは仙骨で改善できる。特に年を取ると体のふらつきが起こるようになる。ズボンを履いたり靴下を履く時などである。これを改善する法は、仙骨と足を結んで仙骨に息を入れるといいようだ。ふらつき解消には仙骨が重要なのである。
- ボーとしてよく見えない目が見えるようになる。仙骨を目と結び、仙骨に息を入れると、気が仙骨から体の表(背側)を通り、頭の後ろ側(目の後ろ側)を気で満たし、拡げると、見えなかった小さな字やはっきりしていなかった輪郭・形がより見えるようになる。
勿論、見れるようになる限度はあるが、大分見えるようになるのは事実である。訓練すれば相当に見えるようになると思う。
- 顔がにこやかになり、陽気になる。上記の見えな目が見えるようになる要領で仙骨をつかうと顔がにこやかになる。これでしかめっ面な顔をつくろうとしても難しいほどである。周りの多くの人たちがしかめっ面をしているが、仙骨ではなく、体の裏の腹側から気を目に入れているからだと思う。裏の気、魄の気を体の裏に出しているということである。魂(神)は表(頭の後ろ)に出せに反しているわけである。
- 植物、生物との一体化と愛の芽生え。上記の目、そして顔で草花や猫・犬を見ると、生命力を感じ、共に生きているという気持ちになり、一体感が生まれる。そして愛しくなり愛が生まれる。万有万物が仲間であり、家族であるという気持ちになる。
願わくば、万人がこのような目を持って欲しいものだ。戦争や争いが無くなるためにも。
仙骨は合気道での魂の力を生み出すためだけではなく、一般社会でも大事な働きをしてくれるモノである。一般人、とりわけ高齢者にはこの仙骨を活用して健康に過ごしてもらいたいものと願う次第である。
Sasaki Aikido Institute © 2006-
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