【第860回】 体の結びと連動

前回の第859回で仙骨について書いた。ようやく仙骨の重要性に気づき、いま、仙骨をつかうようにして技を練っている。そして仙骨の目覚ましい働きに驚き、感謝している。また、仙骨をつかわずに技をつかっても上手く掛からないこともわかった。仙骨はMUSTであると確信した。

合気道の技を掛ける際、体全体をつかわなければならない。つまり、体の部位すべてに働いてもらうのである。その一部でも働かずに遊んでいるといい技にならないということである。例えば、片手取りの場合(例えば、呼吸法、転換法)持たせている手には力が入り、気も入るが、反対側の手が遊んでいては駄目だという事である。
体は主に、胴、左右の手、左右の足、頭(首)で構成されている。この二本の手、二本の足、それに胴と頭が同時に働かなければならないということである。
体のすべての部位が同時に働くためには、水火の息の基での手と足と胴の陰陽十字が必要である。これが狂えばこれらは同時に働いてくれない。
しかし、やってみると分かるが、なかなか同時には働いてくれないのである。どこかでその結びが切れてしまうのである。

これまでは体が一つになって同時に働くために、腹(腰腹)と手足や頭を結んで、腹で手足と頭をつかえばいいと書いてきたわけだが、これではまだ不十分であるということである。腹では手、足、頭と十分に結び?げ続ける事ができないし、十分な力も出ないのである。

そして仙骨の登場である。これまでの腹・腰腹にかえて仙骨をつかうのである。前回書いたように、仙骨には体の各部位と同時に結び繋がり、運動連鎖する働きがあるので、仙骨で体の各部位を同時に結んで働かすことができるようになるのである。技は仙骨から出る力をつかわなければならないと確信する。大先生も、仙骨をつかわなければ真の合気にはならないと言われているようなのである。

仙骨をつかって技をつかうと、体は仙骨から発する力(気)によって、他の各部位が気で満ち、体全体が気で風船のように膨らみ張る。これで体のよじれはなくなり体を捩じらずに一つの体とし、手足は左右連動して動けるようになる。はじめはロボットのような動きになるが、これに腹の十字を加えればスムースな動きになる。

仙骨にはまだまだ知らない事が潜んでいるようだ。まだまだ研究しなければならない。