【第852回】 水火の仕組み

前回前々回で水火について記した。そして合気道の技は水火の結びと水火の仕組みでつかっていかなければならない事がわかった。
そこで今回は水火の仕組みについて研究してみることにする。

水火についての詳細はまだわからないが、この水火の仕組みが己の中にも、また、地球や宇宙にもあるということが分かったのである。それはこの教えの中にある。「一挙一動ことごとく水火の仕組みである。いまや全大宇宙は水火の凝結せるものである。みな水火の動きで生成化々大金剛力をいただいて水火の仕組みとなっている。水火結んで息陰陽に結ぶ。みな生成化育の道である。・・・稽古は水火の仕組みで練る、習うている。」(合気神髄P141)
つまり、大宇宙も人間も水火の仕組みで生成化育の道を進んでいるということである。
まず、人間の水火の仕組みである。人は二本の足で歩く。片方の足を地に着く時は、力は下の縦に下り足は収縮し、そしてその足が上がる時は足が横に膨らみ、他方の足が地に下りて収縮するの、収縮と膨張の繰り返しとなる。一挙一動が水火の仕組みであると実感できる。勿論、手も収縮と膨張で働いてくれる。また、肺も心臓も収縮と膨張の繰り返しであり、水火の仕組みである。

次に、地球であるが、固体の地球といえども,引き伸ばされたり,押し縮められたりしていて,地面は毎日,数センチから数十センチも上昇・下降したり,角度で0.2秒ぐらい傾斜したりすることがわかっているのである。
地球も水火の仕組みにあるわけである。

更に、大宇宙である。サイクリック宇宙論では、“誕生以来、宇宙は加速度的に膨張を続けていると言われており、その終局において限界を迎えた時、収縮を始めると考えられている。そして、数兆年かけ無限小の点にまで収縮すると、今度は再びビッグバンを起こし宇宙が創造される。”という。
また、ビッグバン理論によれば、宇宙には膨張と収縮の2つの時期があるという。 つまり、古い宇宙が収縮して、再び膨張したのが現在の宇宙というのである。
いずれにしても、宇宙も膨張と収縮の水火の仕組みにあるわけである。
これで分かる事は、水火とは膨張と収縮と結んだものであるということである。

また、大先生は前出しの文で、「水火結んで息陰陽に結ぶ」で云われているように、技をつかう際には、この水火の仕組みを土台にして息を陰陽につかわなければならないということである。何故ならば、「火水というのは体であり、イキとは用であります。」(武産合気 P.108)だからである。水火は体であり、土台であるから、この水火で技をかけるのではなく、この上に息を置いて息をつかわなければならないわけである。人の体では、腰と腹の関係である。腰は体で腹が用である。
この体と用は体用(たいゆう)というが、体とは本体であり、用とはその働きを云う。水火は本体であり、息が働きということになる。
本体とは形であると思う。要は、形だけでやっても用をなさないということである。

水火の形には布斗麻邇御霊の他に布斗麻邇御霊より割別た水火の形がある。
「ヽ、━、|、十、ノ、ヽ、二、フ、○、□ 此形は布斗麻邇御霊より割別たる水火の形なり。」(大本言霊学)とある。
まずは、水火の形をしっかりと身につけ、それを土台に息、そして気をつかって技を練っていけばいいだろう。尚、「布斗麻邇御霊より割別たる水火の形をもて天地の気を知ることを得」(大本言霊学)あるから、水火の形を身につけることによって気を知る事ができるようになるのだろう。