【第840回】 布斗麻邇御霊と生物と四股

天地・宇宙の創造と営みは布斗麻邇御霊の形象で現わされている。天地・宇宙の創造は古事記にも記されているが、この古事記の文と布斗麻邇御霊を一緒にしたものがフトマニ古事記と言われ、合気道はこのフトマニ古事記に従ってやらなければならないと合気道開祖である大先生は教えておられる。つまり、この布斗麻邇御霊に則って技をつかうのが合気道(真の合気道、武産合気)であり、それ以前の合気道は体のカスを取るための、真の合気道、武産合気への準備段階と言われている。

しかし、布斗麻邇御霊で技と体をつかうのは容易ではない。七つの御霊がどのように運化するのか、実際、どのように技に取り入れていけばいいのか等々分からない上に、それをどうすれば解り、身につけることができるのかも分からないはずだからである。知る限り、誰も懇切丁寧に教えてくれていないようだし、書物も無いようだからである。勿論、大先生は教えて下さっている。が、これで分かることは難しいはずである。

それではどうすれば布斗麻邇御霊で技と体をつかえるようになるかということになるが、簡単に言えば、挑戦するしかないようだ。
何故、挑戦かというと、“分かるか分からない事”、見つけることが出来るのか出来ないかが分からないがやること、見つけた事や解ったと思う事が正しいのかが分かないらない事に挑戦するということである。よほど気を入れてやらなければ解答を見つけることはできない。また、解答を見つけても、それが正しいのか間違っているのかも分からない。このように挑戦していれば、何とかしたいと、藁をも掴みたくなるような気持になるものである。このような状況になると、大先生の教え、体の教え、書物、自然などの言葉等々にピーンとくるものがあるものである。
喩え、大先生の教えが一言で簡単なものでも、分かったりするのである。

布斗麻邇御霊で技と体をつかい、多少布斗麻邇御霊というものが分かってくると、合気道の技は布斗麻邇御霊の働きでやらなければならないということも分かってくる。
そこで、布斗麻邇御霊は宇宙・天地と万有万物の創造と営みであるわけだから、生物もこの布斗麻邇御霊によって創造されることになるはずであると考えた。逆に、これが分かれば、理解困難な布斗麻邇御霊がどのように運化するのかが分かるはずだとも考えた。

布斗麻邇御霊の働きと草花の成長である。芽が出て、花が咲くまでが布斗麻邇御霊の営みに則っているのがわかる。                   

これをもう少し詳しく説明してみると、

で、天と気を結び、地に気を落とす。種が膨らむ。
で、地に気が落ちていく。根が下に伸びる。と、足下の気が横に拡がり腹が横に拡がる。根が横に伸びる。
で、足下から気が上に上がり、キクが伸びる。
で、気が十字になり、更なる気が生じる。葉が出てくる。
で、気が腹から胸に上がる。更に気が生まれる。葉と蕾が生じる。
で、気が天地に発散する。花が咲く。

草花になったつもりで、布斗麻邇御霊で技をつかえばいいということである。布斗麻邇御霊を感得できるだろうし、その働きもわかるだろう。
草花以外の生物でも出来るはずなので、今後、研究してみたいと思う。

相撲の四股踏みも布斗麻邇御霊と関係があるようだ。
四股は足腰を鍛えたり、準備運動にいいだけでなく、深い意味があるようだ。それは、「大地の邪悪な霊を踏み鎮め,あるいは踏むことで春先の大地を目ざめさせて豊作を約束させる」である。地を踏み鎮めるという宗教的意味をもつのである。布斗麻邇御霊で地を踏むことによって、天地と結んで神となり、神になって地を清めるということだろう。
布斗麻邇御霊はいろいろなものに関係しているようである。