【第831回】 △で入身する

「合気道の体をつくるの『第828回△三角に体をつかう』」で技をつかう際は、体を三面に開いて進んでいかなければならない、つまり、体の三角(△)で入身しなければならないと書いた。
これで技の稽古をやっていくと、この△の重要性と更なる事がわかってきたので記すことにする。

まず、三角の更なる重要性である。これまで合気道は、△○□で技を生んでいくと教わっていたが、この△○□を技と体に上手く活かされていなかったが、ようやく△○□のつくり方、つかい方、働きなどが体得できたようである。特に、△はこれまで思っていたより重要であり、また、強力な力を発揮すると実感する。また、この△が上手く働かなければ、○も□も十分働くことはできずに、その技もいい技にならないということも分かった。
何故、△は大事なのかというと、合気道の技は、まずは相手と一体化しなければならないわけだから、相手に己の身を入れなければならない。入身である。入身して相手と接して、一体化したところで技を掛けて収めるわけだから、相手と接する箇所は狭ければ狭いほどいい。何故ならば、何処までも入り込む事が出来るし、相手に与える衝撃が少なく反動も少ない。また、その狭い先端に力が集中し、大きな力が出ることである。

この狭い先端こそ△の先端である。故に、技を掛けるにあたって、体三面に構えるから、手と腹で△をつくり、△で相手に進む。左右の手と体(体幹)で△をつくるのである。
しかし、左右の手と体幹で△をつくって技をつかうと不自然であるし、通常の技と違ったものになってしまうし、誰もやっていない。それではこの△法は間違いかということになるが、そうではない。この△法は気の三角法なのである。気が△に働くのである。大先生が「合気道は、大自然の絶対愛を基として、体を△に象り(かたどり)、○を中心に、気により△□の変化と気結び、生産びを身体に現わし、生み出しつつ気魂力を養成し、皆空の心と体を造り出す精妙なる道である」と言われていることからも分かる。要は、気で△をつくり、つかい、それで手と体を適当に△にしてつかえばいいという事である。只、はじめから気の△法で技を掛けるのは容易ではないはずなので、この理屈が分かるまでは実際に△の形をつくって、その△で技をつかうといいと思う。特に、正面打ち入身投げでの入身はこの三角法でやらなければならないと思う。正面打ち一教の打ってくる手でも、片手取り呼吸法で掴んでくる手に対しても、△法で入身するのである。また、剣を振り上げるのも、杖を突く場合もこの三角法を体と気でやればいいだろう。

△の先端の面積は無限に零に近くなる故に、どこまでも入り込んでいけるわけである。手と体の△もそうだが、これが三角法の気となれば尚更である。
如何なる技も、この△で入身をすることから始めないと、いい技は生み出せないようである。