【第830回】 身の内にある天地で

「合気は天の浮橋に立たされて、布斗麻邇(ふとまに)の御霊、この姿を現すのであります。これをことごとく技にあらわさなければならないのであります。」の教えに従って技を練っている。これ以前は、イクムスビで体と技をつかっていたが、布斗麻邇御霊でやる方が壱ランク上であると実感できる。取り分け、布斗麻邇御霊でやる方が気が生まれ、気が働いてくれるようだからである。特に、の縦横十字からの気の発生と働きには驚いている。が、何かが欠けているか、十分に働いてくれないようで、まだ十分満足できる技が現われないのである。

その原因と解決法がわかれば、更なる気が生まれ、働きがあるはずだと思っていると、それが分かったのである。
その原因と解決法は、の前の言霊であるにあったのである。
これまで 天之御中主神御霊 高皇産霊神・神皇産霊神両神合体の御霊を宇宙の天と地と考えて、技と体をつかっていたのであるが、これでは技にならないということなのである。

それを気づかせてくれたのは、「宇宙と人体とは同じものである。これを知らなければ合気はわからない。なぜなら合気は宇宙のすべての動きより出来ているからであります。」(武産合気P.68)である。つまり、宇宙の働きを、人体で再現することができるし、しなければならないということなのである。
また、合気道では、「人の身の内には天地の真理が宿されている。」という。(合気真髄 P84) 天があり、地があるが、人の身の内にも天と地があるということである。
「天とは人間の奥深い内部であり、神我(天の私、真の私、自由自在な心、慈愛、大調和)とは内奥の無我の光そのもの」(武産合気・五井昌久 P.12)

よって、これまで上手くいかなかったの問題解決をすればいいことになるが、それではどうするのかという事になる。
まず、は、「この御霊は即ち日月星なり、万物この御霊より発するなり」(『大本言霊学』とあるから、万物(含む稽古相手)に光(気)を発することになる。技を掛ける際の初めに、日月星のように相手に光、気を発するのである。この修練によって、技にも人体にも光が出てくるのだろう。
まずはこれに変えることである。力も満ちてくるし、気持ちが明るくなる。

次に、である。「地の引力によって天の気が下がってきて、即ち明るい天のみいずが地に下りて来て、大地完成、地球人類の平和完成のお手伝いをする時代が来たのです。」(武産合気P.32)とあるが、この地を人体の腹とすればいい。でアーの言霊で発した気をオーで腹に収めるのである。大地の完成が腹の完成ということになるわけである。となるのである。これを布斗麻邇御霊の教えでは、「鶏卵のごとく凝りかたまりて五体の基をなす」とある。
で五体の基をつくることによって次からのの働きがよくなるわけである。

合気道は科学でもある。やるべき事があり、それをすべて順序よくやって行かなければならないし、やって行けば必ず結果が出るし、やらなければ結果は出ない。誰がやろうと、何時、何処でやろうと同じ結果が出るということである。宇宙、天地がやって上手くいったことを、人体でやっても同じ結果が出るということでもある。天地の営みと違ったことを人体でやってしまえば、いい結果・いい技は生まれないということになる。
技が上手くいかないのにはそのような原因・理由があるし、その原因を解消すれば上手くいくようになるということである。