【第828回】 三角に体をつかう

相対稽古で技を掛ける際、相手が攻撃してくる場合でも、また、こちらから向かっていくにしろ、相手と接触し、崩し、一体化し、そして相手を導くことになる。相手が適当に攻撃してくるのなら、こちらも適当にやればいいが、相手が思い切り打ってきたり、掴んで来れば、こちらも思い切り体と技をつかわなければ出来ない。
思い切りやる、体と技をつかうとは、合気道の理合い、宇宙の法則に従ってやるということである。

特に技を掛ける際、最初の相手との接触が大事であると思う。物事は最初が肝心といわれるように、初めが上手くいかないと、後も上手くいかず、失敗作となるからである。喩え、最後を上手く収めたとしても、それは不自然であり、美しくない。それはただ辻褄を合わせただけだからである。

これまで正面打一教が上手くいかず、試行錯誤を繰り返していた。呼吸法はそこそこ出来るようになったとは思っていたが、まだ、不十分であると思っていたわけだが、何故、上手くいかないのか、どうすればよくなるのかがこれで分かったようである。勿論、完全に分かったわけではなく、一歩前進ということである。

その問題は最初の接触だったのである。つまり、入身が不味かったか不完全であったのである。
大先生の教えでは、「心は丸く体三面に進んでいかなければならない。」(合気神髄p89)とある。つまり、体を三角(△)で入身していなかったということである。
そこで左右の手と胴体で三角(△)をつくり、入身して相手に接すると大きな力(体と気の力)が出、その後の円い動きも上手くいき、その技を上手く四角に収めることが出来るようになったのである。正面打ち一教で相手が打ちだしてくる手を、この左右の手と体(腹面)で出来る△で接し、制するのである。呼吸法でもこの三角で接し、制するのである。また、入身投げでもそうだし、恐らくすべての技はこの三角法で入らなければならないだろう。
更に、剣をつかう際もこの三角法でやればいいようである。

ただし、体三面にするのには、左右の手を三角の二辺とするが、もう一辺の
腹を手先と十字しないと三角にならないし、力も出ない事になる。しっかりした手をつくり、柔軟な腰腹をつくっておかなければならない。
尚、初めは左右の手と腹で三角をつくって、その三角で技をつかっていけばいいが、慣れてくれば、実際に手と腹で三角をつくらなくとも、この三角の気で技をつかえばいい。三角の鋭角から生まれる気で、気当たりし、体当たりし、相手を制するのである。後は○く捌き、□で収めればいい。