【第820回】 連続のア、オ、ウ、エ、イ

以前から書いているように、真の合気道での技を生み出していくためには布斗麻邇御霊の営みに基づかなければならない。これを大先生は、「フトマニ古事記によって、技を生み出していかなければなりません。」(武産合気p.77)と云われておられる。布斗麻邇御霊をことごとく技にあらわさなければならないのである。
しかし、布斗麻邇御霊を技にあらわすのは容易ではない。どのようにすれば布斗麻邇御霊を技にあらわすことができるのかが分からないからである。だが、大先生はその問題解決策も教えておられるのである。
それは、親音、大母音と云われる「ア、オ、ウ、エ、イ」と布斗麻邇御霊で技を生み出していくことである。「ア、オ、ウ、エ、イ」の言葉と宇宙のひびきを合することであり、八力を生むことである。これを大先生は、「八力がアオウエイの姿であり」「アオウエイの霊の働きによって一霊四魂三元八力、全身に拡がる大きな動きは宇宙に気結び、御結びされる。(合気神髄P.131)」と教えておられる。

そこで布斗麻邇御霊の形象を「ア、オ、ウ、エ、イ」の親音で表わして技を生むように努めている。






これによって気が生み出されることが実感できるし、強力な力も出るようになり、これまで以上の技、これまでと異質の技と力が生まれるようになった。

しかし、この布斗麻邇御霊と「ア、オ、ウ、エ、イ」で技をつかっていくと一つの課題が出てきた。それは「アオウエイ」での動きが、「ア、オ、ウ、エ、イ」と音毎に切れてしまうことである。アーからオー、オーからウー、ウーからエー、エーからイーと変わる際に切れ目が生じるのである。
切れるモノは二つある。一つは息・呼吸、二つ目は体の動きである。この二つを切れ目なく動き、働くようにしなければならない。
そこで、息が上手くつかえれば、声も体も切れ目なく動き働くようなので、息を研究した。

その解決法は、ア、オ、ウ、エ、イのアとオ、オとウ、ウとエ、エとイの尻尾と頭を繋げることである。
具体的に説明すると、アーと天に拡がったなら、地の足は地を踏みつけることにもなるから、アーからオーに繋がる。オーと息を吐いて更に地に落とす。オーで強く地を踏んだ足はウーの吐く息で腹中が━と横に拡がり、そして|と縦に拡がる。オーとウーの繋がりができるのである。ウーと|と横━と拡がって十字が出来ると、吐く息が引く息に変わるので、今度は胸でエーと息を引き、胸中を気で満たすことになる。ウーが自然にエーと繋がるのである。吐く息から引く息に自然と変わるのである。そのエーで息を更に引いていくと、自然にイーに繋がる。剣を切り下ろす時“エイ”と発する繋がりであると考える。正面打ち一教をイメージすればいいだろう。

このア、オ、ウ、エ、イの声が切れ目なく連続してつかえるようになれば、布斗麻邇御霊での技も更に改善されるはずだと思っている。