【第818回】 ∞で摩擦連行作用を
前回の第817回で摩擦連行作用について書いた。
摩擦連行作用を意識して稽古をしていくと、足の摩擦連行作用は自覚しやすい。足先が左足は外側(反時計回り)、右も外側(時計回り)に返り、それによって体が開き、足からの力が手先に伝わるのが実感出来るのである。
これまでの技づかいや体づかいとは変わったわけであるが、これまでと何がどう違うのかを検証してみたいと思う。
十字に返すと円になる。これまでは円を一つの円として扱ってきたわけだが、左右の手足が交互に働くわけだから、円は左右左・・・と移動することになる。円が移動すれば、円と次の円の動きが切れないために、これらの円がつながる円でなければならないことになる。これが∞であると考える。
右側の円から左側の円・・・と円が右左右・・・と移動すると円は∞となり、腹も足も手も∞で動くことになるわけである。そしてこれによって摩擦連行作用がより働いてくれるのだろう。
体も技も∞で動かなければならないということになるが、∞で動くためには次のような要因があるように思える:
- 腹を十字に返す。地にある足の上に腹が十字にのるようにする。手は、陽の手は上、陰の手は下になる。これを右左右・・・とやっていくと、手と腹は∞で動くことになる。
- 足は踵から地に着ける、そして爪先に体重を移動し、腹と足と手を十字々々に返していく
- ∞は先ず腹で、息を吐きながら、腹中の気を横に拡げ、そして縦に伸ばし、その動きを今度は胸で、息を引き乍ら、胸で気を横に開き、そして縦に伸ばして∞の形の動きにする。要は、腹と胸で∞を二つつくるわけである。
つまり、腹の赤玉と胸の白玉を∞の形にしてつかうのである。ということは、真澄の玉でも∞をつくってつかうことになるはずなので、三つの∞ができることになるのだろう。
- 腹で手足をつかうから円(螺旋)ができる。手を先に動かすと円は出来ず直線になり、次の動きの線と切れ目ができ、動きがとまることになる。また、直線の力は弱い。腰腹と結んでいないからである。
- 腰腹の力をつかわなければならない。強力な力であり、切れない力である。
- 腰の力を出すためには踵を地に着けることである。踵が地に着けば腰がしっかりする。従って、歩を進める際は、踵から着地する必要があることになる。
- 腹の力は爪先から出る。踵から爪先に体重が移動すると、腹が締まるからそれが分かる。また、体(腹)を十字に返るためには、爪先に体重を載せなければ出来ない。
∞で技をつかうと、これまで上手くいかなかった事ができるようになる。例えば、片手取・諸手取呼吸法である。これまでは主に、片手だけで技をつかっていたわけだが、両手、両足を腹と∞でやるとこれまで以上の力が出るようである。両手で∞の形の動きするのである。
正面打ち一教も∞でやるとこれまでになく上手くいく。恐らく他の技(形)も∞でやればいいと思うので、只今、実験中である。
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