【第814回】 水火の形と気

布斗麻邇御霊で技をつかうように稽古をしているが、この布斗麻邇御霊で技をつかわなければ、いい技は生まれないということを確信した。
布斗麻邇御霊はこのように、水火の形を表した図象として目にしているわけである。宇宙や万有万物の創造から営みを、このような図象で表した先人に脱帽である。
布斗麻邇御霊は水と火の形で七つの御霊であるが、この水火の形は気の動きである。合気道の技づかいで大事な強力な気の力は、特に、十字のところで発生するので、のところで強力な気を生み出すことができることになる。例えば、諸手取呼吸法で、縦(指先方向)に出した手を掴ませたら、次に手の平を横に開く・拡げるのである。これがである。で手の平を目いっぱい開き・拡げると、自然と手先の力は手先方向と肩方向の縦に進む。これがである。この火のと水ので十字のが出来、そして強力な気が生まれることになる。この気で相手の気と合わせ、相手を浮かせてしまうのである。しかし、これだけでは、まだ相手を導いて、倒れて貰う事はできない。もう一つの強力な気が必要になる。

からの気が、自然と肩方向の縦に流れるから、今度はこれまで吐いていた息を胸で引くのである。○の水から□の火になるわけである。息を引く際、思い切り横に引くと気で胸が開き拡がり、そして自然と縦の頭の方向の縦に気が上る。これがである。この十字に於いても強力な気が生み出される。この強力な気によって、肩が貫け、手先と腰腹が結び、そして相手を導き、倒すことになるわけである。

ここまでは前にも書いているが、更なる水火の形があることがわかってきたので、ここで書く。
これまで布斗麻邇御霊を研究してきたが、新たな問題が出てきた。まず、強力な気以外にも気はあるはずだし、その気も合気道の技でもつかっているはずであるという事である。また、その気は、布斗麻邇御霊のように、初めがあって、最後に収まるような一貫したものではなくてもいいのではないかと思ったのである。以前にも引用した『大本言霊学』である。布斗麻邇御霊と同時にそれも見ていたのだが、全然分からなかったので無視していたのだが、今、ようやくその重要性に気づいたということである。

有難いことに、思った通りに、布斗麻邇御霊と別の水火の形があることが分かったのである。

この水火の形は、布斗麻邇御霊より割れ別れたる水火の形であるとある。布斗麻邇御霊の水火の形の部分々の形である。この形はほとんどの人の動作の形であるように思う。また、この水火の形から気を知ることができるとある。
この事から、○だけ、﹅だけ、ノだけ等でも気を生み出すことができるということだと考える。我々凡人は、十字からしか強力な気を生み出すことは難しいが、名人や達人は一寸したすべての動作からも気を生み出すことができるというより、すべての動作が気を生んでいるということになるだろう。大先生や有川先生を思い出してみると、それを実感できる。
布斗麻邇御霊を身につけて、そして布斗麻邇御霊より割れ別れたる水火の形の気もつかえるようにしたいものである。

参考文献 『大本言霊学』 出口王仁三郎