【第81回】 遺伝子の活性化

遺伝子は38億年前からあり、38億年にわたっての生物を生かす情報を組み込んで、今のわれわれに伝えている。

人のDNAは約31億個あるとされるが、そのうち働いている遺伝子は3〜4万個しかなく、その残りのものは何のためにあるのか分からなかった。が、最近それは遺伝子を活性化させる指令を出すのに、重要な役割を担っているということが分かったという。

遺伝子はただあるだけでは何の役にも立たなくて、それが活発に活動してくれなければ、これまで蓄えられた知恵、つまりDNAの中の情報を活躍させるのは難しいとされる。

従って遺伝子を活発化させなければならないが、それに関して筑波大学名誉教授の村上和雄博士は、「遺伝子は細胞の中にただ存在するだけでは活動しません。遺伝子は体の中で、スイッチをオンにしたり、オフにしたりしていますので、よい遺伝子のスイッチをオンにしていれば、健康で進化していく生活ができるようになるのです。それでは、どうすればスイッチをオンにできるのでしょうか。それは人間だけが持っている感情、つまり感動、感謝、笑い、そして夢をもって、いきいきと毎日を生きることです」と言われている。

合気道の稽古でも、遺伝子のスイッチをオンにするようにしなければならないだろう。そのためには、感動のある稽古をするのがいい。稽古で感動するのは、今まで出来なかったことができた時とか、知らなかったことが分かった時、技や思想がより深まるなど新たな発見と自分の進化がある時、等であろう。遺伝子がオンになれば38億年で培ってきた生物の生きるための知恵が活性化し、その知恵の情報が目覚め、また合気道の上達を助けてくれることになる。遺伝子を活性化する稽古をしよう。

参考資料  「神道とひらめき」(春秋社)