【第809回】 オの言霊

これまでアオウエイの言霊の内、ウエイの言霊まで研究してきた。これで気になるのは、宇宙創造・運化の順になるアオウエイの言霊を、イエウと逆から解明したことである。それには理由があった。一つ目の理由は、最後の御靈・大八島國御霊とイの言霊は容易に結びつき、八力を生じさせ、技に現わしやすいことである。そしてその最後の御霊と言霊が出来ていれば、その前の御霊・筑紫島御霊とエの言霊がしっかり働いていることがわかるし、働かなければならないことになる。
筑紫島御霊とエの言霊が上手く働いてくれると、ウの言霊で伊邪那岐神の御霊と伊邪那美神の御霊に働いてもらい伊予の二名島を生み出さなければならないわけだが、これがこれまでと違って容易ではないのである。と息を吐きながら、腹中で息(気)を引き、そして吐かなければならないのである。しかも、これで技を生み出すのである。
いろいろと試行しながら挑戦してみたわけだが、分かった事は、この上手くいかない原因は、この前の御霊とオの言霊にあったということである。つまり、オの言霊で高皇産霊神と神皇産霊神の両神合体の御霊にしっかりと働いてもらわなければならないということである。これまでも働いてもらうようにはしていたが、まだ不十分だったのである。
そこで今回は、オの言霊の高皇産霊神と神皇産霊神の御霊について研究してみたいと思う。

布斗麻邇御霊の二番目の御霊は高皇産霊神と神皇産霊神の両神合体の御霊である。形はである。
先ず、高皇産霊神と神皇産霊神の二柱の神が居られるが、これは人体での地を踏む両足である。そしてこの両神の間に天之御中主神が立つ。三位一体であり、三面体をつくる。「心を丸く、体三面に開く」の三面体であろう。
しかし、布斗麻邇御霊では、この二柱の神の形ではなく、両神合体の御霊の形を上のように表している。真中に●と四つの円である。
真中の●は、一番目の天之御中主神御霊である。だが何故ここは体三面などではなく、四つの円になっているのか、合気道の技と体をつかう際にどのような影響や効果があるのかという疑問が起こる。今回、それを自分なりに考え、技で試したわけだが、技はこれまで以上に上手く出来るようだし、そして、次の御霊・那岐那美の神の御霊が働けるようになったのである。これで何故、に円滑に進めなかったのかが分かったということである。

この四つの円の輪は、足の親指を支点とした円、足首を支点とした円、膝を支点とした円、腰(股関節)を支点とした円と考える。円は縦と横の十字で出来るので、この四か所で十字をつくることになる。十字はお腹の横の面と足先、足首、膝、腰(股関節)の縦の線でつくられることになる。
足の親指を支点とした円が一番外側で、腰(股関節)を支点とした円が一番内側である。
円はこれらの個々を支点とした円でもつかえるし、一緒にもつかえるが、初めは個々の円で技と体をつかっていくのがいいようだ。この個々の四つの円をしっかりと身につけなければならないからである。この円がしっかりしていないと、いい技は生まれない。力も出ないし、また、気も出ない。正面打ち一教が難しいのも、この円がしっかりとしていないことにもあるだろう。

このの御霊の動きは、合気道の技だけではなく剣でもつかわなければならない。とりわけ、居合の剣は、この円でつかうのがいいようだ。