【第807回】 法則を体で感じる、確認する

合気道は技を練って精進するが、その合気道の技は宇宙の営みを形にしたものであり、宇宙の法則に則っているから、その法則に従って技をつかわなければならないことになる。
しかし、この法則を技の中に見つけ、それを技に組み込んでつかうのは容易ではない。特に、最初のとっかかりが難しいはずである。その理由は、合気道の技に法則があるという事が理解出来ないか、信用しないか、疑うからである。先ずは、技に法則があるということを信じなければ始まらない。大先生がこれも教えておられるわけだから、信じなければならない。技に法則があるを信じないという事は、大先生の教えも信じないことになり、合気道を稽古する意味がないという事になる。

次の理由は、技に法則があるということを実感するのが難しいことである。学校の勉強のように頭で考えても解らないもので、体で感じなければならない。体が、これが法則であると感じ、判断し、そしてその法則を体に取り込んでいくのである。体が法則に則って働くと、技も法則に則って生み出されるのである。従って、それまでのように、相手を投げたり、抑えるために体をつかい、技をつかってきた事に換えて、法則に合わせて、法則の枠の中に、体と技を取り込んでいくのである。

更なる難しい理由は、宇宙の法則であるから、法則は無限にあるだろうということである。しかし、ここで大事な事は、これは到底手に負えるものではないと諦めるのではなく、一つでも多く身につけてやろうと挑戦することである。先ず、一つの法則を見つけ、法則があることを確信し、そして更に法則を見つけ、身につけていけばいいと考える。宇宙の法則を身につけることによって、宇宙に近づいていくわけだから、これほど素晴らしいことはない。

さて、これまでいくつかの法則を見つけ、体と技に取り入れてきた。例えば、陰陽十字であるが、最近、この陰陽十字の法則で技をつかう大事さと、そしてこの法則は確かに宇宙の法則であると実感するようになった。つまり、この陰陽十字無し、または不完全な場合は、技も不完全になるということと、この陰陽十字は合気道の全ての技や動きに働くという事である。大先生は勿論のこと、過去の達人、名人もつかっていたはずだし、また、将来の合気道家もつかわなければならない、過去・現在・未来の時間と日本や外国など場所を超越した法則であるということである。

最近、もう一つの法則の重要さを再確認した。それは身体の働く順序が、腹⇒足⇒手であるということである。このことは以前にも書いているが、今は、技をつかう際の身体の働きの順序は、腹⇒足⇒手でなければならないと、そして是は、法則、陰陽十字と同様の宇宙の法則であると確信したのである。
合気道の技をつかう場合は勿論の事、剣づかいもこの法則に従わなければならないと確信したのである。迅速に強く切り結ぶ剣も、切れ目のない剣をつかうのも、この腹⇒足⇒手の順で動かなければならないのである。
また、大相撲で勝った相撲の多くはこの腹⇒足⇒手の順で動き、力を出しており、負けた相撲の多くは、この順を破り、腰が引けて、手を出したり、足が出ないで手だけが出たりしているように見える。