【第806回】 手と足の三角の筋肉

手と足のつけ根を意識して稽古をしていると、大きな力が出るし、楽であり、体も心も喜んでくれているようだ。これからは、今回の『合気道の思想と技』に書いたように、この手と足のつけ根を大切にして技をつかっていこうと思っていたわけだが、テレビで大相撲を見ていると、この手と足のつけ根の大切さを更に納得することになった。

大先生は相撲も相当強かったこともあるが、相撲は魄の世界で最高のものであると、相撲を高く評価されておられた。確かに、力士の力は超人的であるし、その力を生む体も超人的である。超人的な体とは、合気道的に云えば、宇宙の条理・法則に則ってつくられたものということである。これはまさしく大先生が云われる「宇宙と人体とは同じものである」ということだろう。

力士の写真を見ると、手のつけ根と足のつけ根の頑強さが一目瞭然である。

更に、手と足のつけ根の箇所が最も大きく、末端にいくほど細くなっていることが分かる。また、強い力士ほど、手と足のつけ根の箇所が大きく、太いようである。これは▽(逆三角形)である。体を▽で表すと次のようになる。
また、▽(逆三角形)は、気と力の方向を表していると思う。気と力がこの▽の底辺から先端に向かって流れるということである。手のつけ根と足のつけ根から手と足の先端に向かって流れるということである。相撲を見ていてもそのようだし、己が技をつかってもそれを感じる。別の見方をすれば、これで気と力をつかっていけば、手のつけ根と足のつけ根が大きく、太く、強靭になっていくということだろう。
手のつけ根と足のつけ根は大事であるということになるわけである。