【第803回】 赤玉、白玉、真澄の玉

大先生は、世界を浄め、和合させるものは五つあると、次の様に言われている。「日月の気と天の呼吸と地の呼吸、潮の干満とこの四つの宝を理解せねばだめなのです。もう一つ、澄み切った玉が必要です。この五つのものが世界を淨め、和合させていると思っている。」(合気神髄P.14)と言われている。
この五つのものは、世界を浄め、和合させるものであるが、禊である合気道でも同じと考えなければならないだろう。
この内、これまで「天の呼吸と地の呼吸、潮の干満」については研究してきたつもりだが、「日月の気と澄み切った玉」の研究が残っている。
そこで、日月の気は別の機会に回すことにして、この澄み切った玉を中心に、この玉に関係する赤玉と白玉を合わせて研究することにする。
大先生は、「この世の禊ぎには、赤玉、白玉、真澄の玉(青玉、真澄の玉)の三つの神宝が必要なのです」「合気道は赤玉、白玉、真澄の玉です」「人々の禊となるには赤玉白玉に神習うことである。」等とも教えておられるからである。

先ず、何故、急に、「赤玉、白玉、真澄の玉」に興味を持ったかというと、禊をしている内に、体が、これが「赤玉、白玉、真澄の玉」だとはっきりと自覚したからである。これまで勉強してきて頭に残っていた「赤玉、白玉、真澄の玉」という言葉が、これがそうだと体が反応したのである。
布斗麻邇御霊で体と息(気)で技を生んでいると、これが赤玉、これが白玉、そしてこれが真澄の玉であると感得するのである。そしてこの三つの玉の働きと偉大さと重要さがわかったわけである。
具体的に云えば、七つの布斗麻邇御霊の内の三つが赤玉であり、白玉であり、そして真澄の玉ということである。(尚、これまでは、赤玉と白玉を入れ替えてしまっていたようだ。これは間違いだったと体が教えてくれたのである。)
つまり、が赤玉、が白玉、が真澄の玉である。
尚、赤玉は塩盈珠、白玉は塩涸珠、真澄の玉は風の玉で空気の素みたいなもので青玉とも言われる。
簡単に言えば、天の息の吐く息が赤玉、地の息の引く息が白玉、吐くでも引くでもない澄みきった息が真澄の玉(又は、澄みきった玉、青玉)である。

しかし、恐らく、最後の「真澄の玉」を頭で理解するのは難しいかも知れない。体で感じるしかないからである。この真澄の玉は、例えば、一教などの抑え技や入身投げなどの投げ技の最後の収めに働くものである。赤玉や白玉のように強靱さや力強さや激しさはないが、静であるが強力な力を秘めている玉である。赤玉や白玉のように相手に接していなくとも、相手を抑え込むことが出来る不思議な力を秘めている。これは体感できる。後日、説明するが、この真澄の玉は、魂の気を有し、魂に繋がっているようなのである。

合気道の技をつかうには、この「赤玉、白玉、真澄の玉」でやらなければならないことになる。さもないと禊ぎの技にはならないはずだからである。
また、剣の素ぶりや剣づかいでも、この赤玉、白玉、真澄の玉でやれば、宇宙と一体となり、万有万物を包み込むような剣になるようである。