【第798回】 高齢者のための体操

最近は、ますます高齢者が運動不足にあるように見える。特に、今はコロナウィルスの感染を恐れて、家から出ることが少なくなっているので、より運動不足にあるように思う。この運動不足を何とかしようと、外に出て散歩をしたり、広場などで軽い体操などしているが、見ていてもはらはらする。
テレビでは高齢者の運動不足解消のための体操を紹介しているが、何か肝心なことが抜けているようで、余り効果がないように見える。また、高齢者はその体操に喜びを感じているようには見えない。そのためか、長続きもしないように見ている。

高齢者に効果があり、喜んでやり、長続きする高齢者のための体操でなければならないと思う。効果があるとは、その体操によって、筋肉が柔軟になり、体の部位が強靭になり日常生活を快適に送れることである。喜んでやるためには、それをやる高齢者がその体操の意味を納得し、それに満足するものでなければならない。この二つが揃えば、続けようと思うはずだし、その結果、長続きすることになるはずである。

それでは具体的にどんな体操があるかということになる。例えば、合気道的な「アオウエイ」の言霊の体操である。何故、この体操がいいかというと、合気道の稽古でやっていることであり、この稽古によって、筋肉もつくし、体も出来るし、息づかいで腹や胸を鍛え、そしてまた、頭、心も禊ぐことができるからである。
今のところ、この布斗麻邇御霊と「アオウエイ」の言霊での稽古を相対での技の稽古でやっているわけだが、いずれ稽古が出来なくなった場合は、これを基に高齢者のための体操をつくりたいと思っている。

具体的にどのような体操になるかというと、

  1. 布斗麻邇御霊のでア声を発し、己と天地・宇宙と一体化する。己が天地の間に在り、宇宙の一員であることを自覚する。孤独でも、一人ぼっちでもない事が自覚できることになる。
  2. で、オ声を発し、両足を地にしっかり下ろす。左右の足、特に、下肢が鍛えられる。
  3. ウ声を発しながら、腹中の気を横、縦、そしてにつかう。
    腹の鍛練である。
  4. エ声で息を引き乍ら、胸中を横、縦に大きく開く。胸の鍛練である。
  5. イ声で更に息を引き乍ら、気を首を通って頭に流す。気で頭を禊ぐのである。頭が禊がれる。そしてその気で満ちた頭と腹・胸の気を一つにまとめるのである。全身が一体化し、自分の体と意識することになる。
尚、手のつかい方をどうするか、まだ分かっていないが、一つの基本は、手を拡げて閉じるを規則的にやることである。 

この体操によって、まず、手先、足先から体幹(腹部、胸部)、首、頭が肉体的に鍛えられる。次に、息で上記の部位を働かせ、動かすことを身につけることになる。一般の体操を見ていると、息をほとんど無視しているようにみるが、体は息でつかわなければならないから、息で体を動かすようにすればいい。特に、高齢者は体が硬いわけだから、息の吐いて→吸って→吐くのイクムスビの息づかいでやらなければならないと考える。三つ目は、頭を禊ぐことによって、ボケ防止の効果にもなると考える。つまり、体だけでなく、心(頭)の体操にもなっているということである。
勿論、この体操で一番大事な事は、布斗麻邇御霊の姿を、「アオウエイ」の言霊のでやることであるから、宇宙の営みに合しているということである。
時間と空間に関係のない体操ということで、言うなれば、これ以上の体操は無いという事であると考えている。