【第794回】 天地と合体して直す

最近珍しく体を痛めた。開脚や屈伸が難しい。大した怪我ではないが気になる。原因は、親指の爪の裏に血がたまったほど、稽古の相手の体重が私の足の親指の上にもろに懸かったことであった。親指の痛みは間もなく消えたが、脚のある筋と骨の痛みを感じ、スムースに動けなくなった。以前にも同じようなことがあったが、こういう場合、鍼灸師の弟に直してもらっていた。
今回も弟に直してもらおうかとも考えたが、そろそろ自分で直せるようにしなければならないと思った。折角、合気道を長年研究しているわけだから、これぐらいの事は出来るのではないかと思ったわけである。また、新型コロナの事もあったので、弟に迷惑をかけては不味いとも思ったこともある。

さて、これまでの研究において、合気道の技は、宇宙の条理・法則、天地の営み・運化と一体化してつかわれなければならない事が明白になった。布斗麻邇御霊の気の動き、天地の息のアオウエイに合わせ体をつかわなければ合気の技は生まれないのである。
また、このことは、体が布斗麻邇御霊や天地の息のアオウエイで働いてくれないとしたら、どこかに機能不全の箇所があるということになり、その箇所に違和感を感じるはずである。従って、この違和感のある個所を布斗麻邇御霊やアオウエイが働いてくれるようにすればいいことになると考える。

痛みのある脚の筋と骨である。痛みがあるということは、そこが詰まっているか、引っ張られ過ぎているということであろう。これを基に戻せばいいことになる。通常、これは自分自身では出来ないから、鍼灸師やマッサージ師にやってもらうことになる。
しかし、合気道の教えで、それを自分で出来たようである。その教えは、伊邪那岐と伊邪那美の息づかい、体づかいである。声はアオウエイのウである。具体的なイメージは、片手取り呼吸法での、手を出して相手に手を掴ませたら、ウーと腹を横に開きながら手の平を拡げ(伊邪那岐)、引き続き、腹を縦に絞りながら手先から気を出すのである。大事な事は、口からは息を吐き続けているが、腹の中で息(気)を横と縦の十字に働かせる事、そして手を出したところから、手先を拡げ、そして手先に気を出すまで気は常に脱し続ける事である。

この息づかい、気づかいで痛みのある処を意識して伸ばしたり、詰まりを解けばいい。只、脚で布斗麻邇御霊の気の動き、天地の息のアオウエイでやるのは難しい。手のようにはいかないはずである。足を布斗麻邇御霊やアオウエイで練るには、手と連動してやるといい。手が働くと足も連動するのである。相当な力が加わるので痛いが、後で気持ちが良くなる。
尚、痛みを取るために、ここで説明したのは、伊邪那岐と伊邪那美の息づかい、体づかいであったが、更にこれをウーの伊邪那岐と伊邪那美から、エーの筑紫島、そしてイーの大八島までやればより効果が出る。

技は天地合体で生むということであるが、痛みは天地の合体から外れたということであるわけだから、天地合体に戻せば治る(直る)というわけである。