【第788回】 合気妙用の導き

前回の『気の妙用』に引き続き、次の教えがわかってきたので記すことにする。これもフトマニ古事記の世界に入ったお陰だ。フトマニ古事記の布斗麻邇御霊の御働きと合わせてみると分かるのである。

その教えの文章は次のものである。尚、1〜4は便宜上付け加えたもので、本文にはない。
「技は、すべて宇宙の法則に合していなければならない。宇宙と結ばれる武を武産の武というのである。武産の武の結びの第一歩はひびきである。五体のひびきの槍を阿吽の力によって、宇宙に拡げるのである。五体のひびきの形に表れるのが「産(むすび)」である。

  1. 武産の武の結びの第一歩はひびきである。五体のひびきの槍を阿吽の力によって、宇宙に拡げるのである。五体のひびきの形に表れるのが、「産び」(むすび)である。すべての元素である。元素は武の形を表わし、千変万化の発兆の主である。
  2. 呼吸の凝結が、心身にみなぎると、己が意識的にせずとも、自然に呼吸が宇宙に同化し、丸く宇宙に拡がっていくのが感じられる。
  3. その次には一度拡がった呼吸が、再び自己に集まってくるのを感じる。
  4. このような呼吸ができるようになると、精神の実在が己の周囲に集結して、列座するように覚える。これすなわち、合気妙応の初歩の導きである。合気を無意識に導き出すには、この妙応が必要である。」(合気神髄 P.86,87)
これを頭と体で理解し実感するわけである。 先ず、番号のない前文である。三つの事を教えている。一つは、技は、すべて宇宙の法則に合していなければならない事。宇宙の法則とは陰陽十字、布斗麻邇御霊の営み等である。二つ目は、宇宙と結ばれる武を武産の武ということである。武産の武は真の合気道である。合気道はこの武産の武、真の合気道を目指さなければならないわけである。三つ目は、武産の武の結びの第一歩はひびきであるという事。阿吽の呼吸によって五体をひびかせ宇宙に拡げると宇宙とむすぶという事であろう。 次に、この前文を踏まえて、実際にどうすればいいのか、どのようにすれば宇宙と一体化できるかの説明となる。
  1. 武産の武の結びの第一歩はひびきであると前文と同じことを云っているが、このひびきこそがすべての元素であり、武の形を表わし、千変万化の発兆の主であるというのである。つまり、千変万化を生じる技の元であるということであろう。合気道は形が無く、ひびきであるといわれるのはこの事に関係するだろう。先ずは、阿吽の呼吸によって五体をひびかせなければならない。
  2. 「呼吸の凝結が、心身に漲る(みなぎる)と、己が意識的にせずとも、自然に呼吸が宇宙に同化し、丸く宇宙に拡がっていくのが感じられる。」と呼吸で宇宙と同化し、宇宙の広がりを感ずるわけであるが、これが布斗麻邇御霊の天之御中主神御霊の運化と一体となることであると思う。ここで関係するのは、の内の○の吐く息である。
  3. 「その次には一度拡がった呼吸が、再び自己に集まってくるのを感じる。」とあるが、これはの○の中の﹅(ポチ)である。息を吐き続けていると、自然と息が﹅(ポチ)に集まってくるのである。
  4. 「このような呼吸ができるようになると、精神の実在が己の周囲に集結して、列座するように覚える。これすなわち、合気妙応の初歩の導きである。合気を無意識に導き出すには、この妙応が必要である。」は、この布斗麻邇御霊の最初の営みに合したの呼吸をすれば、己と宇宙が結ばれ、己と宇宙を感得できるようになるということだろう。
    これが合気妙応の初歩の導きであり、これが出来れば技も無意識に導き出すことが出来るということである。
    また、この合気妙応の導きができるようになれば、次に進めるということである。
大先生は、「こうして合気妙用の導きに達すると、御造化の御徳を得、呼吸が右に螺旋しつつ舞い昇り、左に螺旋して舞い降り、水火の結びを生ずる、摩擦連行作用を生ずる。水火の結びは、宇宙万有一切の様相根元をなすものであって、無量無辺である。この摩擦連行作用を生じさすことができてこそ、合気の真髄を把握することができるのである。」(合気神髄p87)と教えておられる。
つまり、麻邇御霊の天之御中主神御霊の呼吸が出来るようになれば、次の高皇産霊神・神皇産霊神両神合体の御霊に進み、摩擦連行作用を生ずるようになるということである。言葉を返れば、天之御中主神御霊の呼吸が出来なければ、での摩擦連行作用を生じさせることが出来ないということである。
先ずは、合気妙用の導きを身に付けなければならない。