【第779回】 未来は過去の集大成

人世の一つの大きな節目としている80歳が一月後に来る。鼻ったれ小僧とも、後ひと月でおさらばしたいと念じている。これからあと何年この世にいられるか分からないが、これまでと違った大人の生き方をしたいと思っている。
そこで、80歳の先の未来を考えてみた。未来は未来だから、何があるかどうなるか分からない。しかし、ある程度の予想はできる。未来は現在と過去に繋がっているからである。現在は過去の集大成であるし、未来は現在と過去の集大成であるはずだからである。
つまり、これまでやった事、みた事、聞いたこと、学んだこと、体験したこと等々の集大成が未来には実を結び、花を咲かせるということである。そしてこれが私の求める大人の生き方、未来であるように思っている。

これは合気道で学んだことである。合気道もこれまでは、やりたい事をやりたい放題やってきたが、80歳から先の未来では、これまでやって来たことを集大成し、宇宙の営みに合し、宇宙の法則に則って、宇宙と共に楽しみ、宇宙楽園建設の生成化育のお手伝いをしていくことであろうと考えている。

このように80歳からの自分の未来を考えていると、そうだそうだ、これから本当に頑張れよという応援に偶、偶然、遭遇したのである。それはテレビから流れてきた、彫刻家の平櫛田中(ひらくしでんちゅう)の言葉である。
「六十七十ははなたれこぞう おとこざかりは百から百から わしもこれからこれから」「いまやらねばいつできる わしがやらねばたれがやる」である。
平櫛田中はこの書をよく揮毫いたというから、座右の銘だったのだろう。
    
田中のこの言葉から、百歳までやってきたことはまだまだだが、百歳までやってきたことをこれから集大成していくという意気込み、また、自分が今やらなければならないという使命感が十分に伝わってくる。百歳までの過去にやってきたことが、未来に繋がり、集大成させようというのである。これこそが私の求める大人である。