【第779回】 宇宙との一体化

長年、合気道を修業してきているが、もう一度「合気道」について考えてみたいと思う。「合気道」とは何かということである。合気道を知らない人にも分かるように簡単明瞭でなければならない。勿論、合気道を創られた大先生の教えに合していなければならない。
「合気道」は「合気」の「道」であるが、まず、「合気」とは何かということになる。大先生は合気を、「合気というものは、宇宙の気と合気しているのである」と云われているから、「合気」を簡単明瞭に言えば、宇宙との一体化ということになるだろう。

次に「道」であるが、これは誰もが知るものであるから説明の必要がないと思うが、敢えて説明すれば、「道」は己と目的を結び、進むべく、見えない通りと考えている。

つまり、合気道とは宇宙と一体となるための道ということになる。
しかし、人が宇宙と一体になれるかという疑問を誰もが持つはずである。が、この問題も合気道では解決されている。人と宇宙は同じであるということである。人は宇宙から生まれ、生まれも営みも同じなのである。更に、一般的な科学の世界でも、大宇宙のコスモスに対して人はミクロコスモスと云われるように、同じであることを認めている。更に、合気道のフトマニ古事記の稽古をしていけば、人と宇宙は非常に似ているし、同じであると思うようになるはずである。

だが、大宇宙と人には時間空間的な隔たりがあるので、同じでも一体となるのは容易ではないわけだが、この問題に対して、それを念で気結びすればいいと、次の様に開祖は教えて下さっている。「念を五体から宇宙に気結びすれば、五体は宇宙と一体となる」(合気神髄p105)との教えである。強い心の念で五体から気を産み、宇宙に結ぶのである。

この宇宙というのは、宇宙の営みのことであり、宇宙の営みに五体を同化・一体化するということである。
それでは具体的にどうすればこの宇宙の営みに五体が同化・一体化出来るかという事になる。
それが布斗麻邇御霊の働きに合して、技と体と息をつかって錬磨することである。布斗麻邇御霊と一体化することが宇宙との一体化ということになると考える。