【第775回】 フトマニ古事記 その5 謂伊豫の二名島
出る息の正中に位して昇る御霊
伊豫の二名島
「この御霊は伊邪那岐神のヽと伊邪那美神の|と興合玉(くみあいたま)ふ御形にして、五十連の息に調に従て形も調べあり、此御霊━|興合なるを見て知るべし。息胞衣の内に興合て母体を出むとして吹義なり。人は十月にわたりて息胞衣の内に満々て自ら吹切って出るなり。水火は水火なり。故に水火満つ時水火生なり。其時胞衣の破るヽを淡道穂狭別島を生と云ふ。其胞衣を出て息を吹出すを伊豫二名島を生と云う。
此島身一而有面四毎面有名といふは、此靈の御像一にして、
是の如く舫ひて四つの形をなすと云う傳なり。是を伊豫土佐粟讃岐の國を借て名とする。息出る時は四ツの形をなすと云ふ傳なり。」
前段では、伊邪那岐神は胞衣の内に一の形を作り、伊邪那美神は胞衣の内に|の形を作り、誘い双で天の浮橋ができる、とあった。この段はこれに続くのである。
胞衣とは、胎盤のことである。
ここで興味深いのは、宇宙規模の話に胞衣が出てくることであり、女性の胎盤の胞衣で宇宙の営みを説明していることである。
合気道ではこの段の教えを次の様に云っている。
<十字に関して>
- 「合気道は魂の学びであります。ちょうど丸に十を書いて三角が四つ寄っております。これは魂が剣と槍とになっています。」
- 「天地火水」十字の交流。天火水地の十字の交流によって生みだされる言霊の響きによって宇宙万物が生成されたのであり、それに習うことが合気の道なのである。」等
<天の浮橋に関して>
- 「天の浮橋は、丁度魂魄の正しく整った上に立った姿です。これが十字です。これを霊の世界と実在の世界の両方面にも一つにならなければいけない。」
- 「ウ」は浮にして縦をなし、「ハ」は橋にして横にして横をなし、二つ結んで十字、ウキハシで縦横をなす。その浮橋にたたなして合気を産み出す。これを武産合気といいます。」
- 「合気は天の浮橋に立たされて、布斗麻邇(ふとまに)の御霊、この姿を現すのであります。これをことごとく技にあらわさなければならないので あります。これはイザナギ、イザナミの大神、成りあわざるものと成りあまれるものと・・・。」等
次に

の○についてである。「布斗麻邇御霊」の7つの図像は○と□に分けることが出来る。初めの5つが○、残りの2つが□である。
○は吐く息で水であるという。合気道も同じであるが、○を、△○□、イクムスビ、タルムスビ、タマツメムスビの中でも捉えられている。また霊的に見て、△奇霊、荒霊 ○和霊 □幸霊とし、物質的に見て、△天・火 ○水 □地とする。
従って、初めから5つの図形では吐く息になる。
さて、

である。○に十である。○は息を吐くわけだが、十がどうなるかということになる。
十の━は火であり、|は水であるから、この火の引く息と水の吐く息をつかわなければならないことになる。つまり、息を水で○く吐きながら、お腹(胞衣)で━に息を引き(火)、そして|で息を吐く(水)と二重の息づかいになるわけである。
この息づかいで、伊豫の二名島を感じる事ができるようである。
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