【第774回】 フトマニ古事記 その4 伊邪那岐の御霊、伊邪那美の御霊

  ,胞衣火エナの内に動ての形を作す
伊邪那岐の御霊
  胞衣の内に動て?の形を作す
伊邪那美の御霊

故ニ柱神立天浮橋而 指下其沼矛以晝者 塩許袁呂許袁呂邇画鳴而 引上時 自其矛末垂落塩累積成島 是淤能碁呂島。
(読み:フタハシラノカミ アメノウキハシニタタナシテ ソノヌボコヲサシオロシ モッテカキタマエバ シホコヲロコヲロ二カキナシテ ヒキアゲノトキ ソノホコサキヨリ シタタルシオツモリテシマトナル コレオノコロシマナリ)

この段は、伊邪那岐と伊邪那美の二柱の神が天浮橋立つから始まるが、天浮橋を次の様に定義している。
「天浮橋といふ言義は、アは自と云ふことなり、メは回ることなり。ウキはウキ・クと活用ハタラキ ハシはハシ・スと活用詞にて、ウは水にして竪をなし即ちなり。ハは火にして横をなす。 即ちなり 水火イキ自に回り浮発ウキハシて竪横をなすを天浮橋といふなり」

これを『合気神髄』は次の様に説明し、これが神業になるとしている。
「天の浮橋に立たされて、「ア」は自ずから「メ」は巡る。浮橋の「ウ」は空水にして縦となす。橋の「ハ」は横となす。水火結んで縦横となす、縦横の神業。自然に起きる神技。」(合気神髄 P.151)

ここから分かることは、一つは布斗麻邇御霊と古事記と密接な関係があること、二つ目は合気道の植芝盛平開祖はこの大本教の教えを学び、合気道に取り入れておられたということである。
但し、『大本言霊学』は言霊学であり、宗教的に山口志道の布斗麻邇御霊を解釈し、使用していたのに対し、合気道はこれを真の武道、神業、神技を生み出すために重視しているはずだということである。

例えば、合気道ではそのために伊佐那岐・伊佐那美神に働いてもらわなければならないとしている。
「高御産巣日・神産巣日神の天(上)と地(下)の気の流れが伊佐那岐・伊佐那美神は左から右への気の流れと結び、この二つがあいまってラセン状に舞い上がり、舞い下がる合気道の気の結びが生じ、十字になる」。
これは高御産巣日・神産巣日神の縦の気の流れと伊佐那岐・伊佐那美神の横の気の流れが相まって舞い上がり、舞い下がる十字になり、これが神業に結びつくということであろう。
これから技で試して確認していこうと思っている。

伊佐那岐・伊佐那美神について武道的に大事な事を忘れていたのでここに記す。
それは布斗麻邇御霊の図像で伊佐那岐神が先で、伊佐那美神が後になっていることである。これは体や技をつかう際に、まず横、次に縦とつかわなければならないという事である。例えば、開脚での柔軟体操の場合、先に体を縦に倒すのではなく、腰を横に開くようにし、それから前に倒すのである。技も同じである。これが布斗麻邇御霊に合した、宇宙の法則ということになるわけである。

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