【第76回】 両手と体をむすぶ

合気道の技を効かせるには手を直接的か間接的に使うことになるが、どうしても相手に持たせているか、触れている片方の手だけを使ったり、手だけを振り回わす手さばきになってしまうことが多い。手は二本あるので二本を上手に使えば技はより効果的になるし、その両手が体としっかりむすび、体からの力がその手に伝わればもっと効果的になる。

技をかけるときには、手は基本的に自分の中心線上に置き、中心線上をまたは中心線に向かって動かさなければならない。そして、手ではなく中心(腹、腰)を動かさなければならない。両手を使う場合は、両手を結んだ真ん中が体の中心(へそ)と一致しなければならない。これがずれると力が十分出せないし、相手に押さえられたり、引き倒されたりしてしまう。

左と右の手をしっかりむすび、その両手の真ん中と体の中心をしっかりむすぶ稽古をするには、これを意識しての木刀や杖の素振りがいい。慣れてくれば木刀や杖を持たなくとも、持ったときと同じ手の形で、手と腹をむすんで振れるようになり、そしてそれが体術に使えるようになる。

合気道の形の中でこの稽古に相応しいのは下記のものであろう:
〇両手取呼吸法
〇両袖取呼吸法(写真)
〇天地投げ
〇両手取四方投げ
〇両手取小手返し(内と外)
〇後両手取呼吸法
〇正面打入身投げ

すべての形はそうだが、上記の形は特に両手が上手く(しっかりと、陰陽で)使えていないと技がきまらない。また、片手を取らせる形の場合でも、両手を取られているつもりで、他方の手を活かし、両手を陰陽で使うようにしなければならない。