【第759回】 気の出る体を

合気道は魂の学びであるが、まだ魂の次元までいっていないので、先ずは気の次元に入りたいと思って技と体の鍛練をしている。
気はこれまで研究してきたように、見えないモノであるから、これが気であると示すのは難しいが、少なくとも己で実感することが出来ると思っている。何故ならば、気は幽の体であり、見えない神様のような幽の幽ではないからである。
お蔭様で少しずつ気を感じることができるようになってきたようだ。まず、こちらで気を意識して出したり、無意識で出していると相手や周りの人がそれを感じるということである。気が出ている時は、道場でいても他人はそれを感じるようで、こちらを意識しているようであり、チラチラ見る視線を感じたり、あまり近づいてこない。また、稽古の後に電車に乗っても、他の乗客が隣に座るのを躊躇するようである。
次に、気を感ずるのは、技を掛けると相手をくっつけてしまい、こちらの思うように導くことが出来るようになる事から、この粘す働きをするのが気であると感じるのである。合気道は引力の養成であり、引力がつくことは気そして魂が出、気が働くことだと考えるのである。特に、後ろ両手取りでそれを感じる。
三つ目は、天地の息で体をつかうと体に気が流れ、体が気で満ち、そして力が出る、を感じることである。この力は気の力の気力と体の力の体力である。

しかし、この三番目の気が出て働いてくれるためには、息と体を上手くつかわなければならない。合気道で上手くというのは法則に則り、天地の息と一体化することである。
それでは具体的にどうするかということになる。実際にはこんな流ちょうにやるわけではないが、説明上はそうなる。

  1. お腹から息を吐いて息・気を腹に落とす(縦)と息・気が体に入り横に広がり天に上がり、そして己の気が天と結ぶ。
  2. その天の気を息を吐いてお腹に収め、更に気を手先に流し、気と体重を足底に落とす。足底をしっかり固定するためには、手の平をしっかり張らなければならない。更に、手の平を張ったら、手の平の角度を正面打ち一教の45度の角度に返す。この返しによって手先から肘までと足首から足の膝までがしっかりする。手と足は連動して働いている事がわかる。
  3. 息を引き乍ら、手先を伸ばして手の平の角度を正面打ち一教のように更に45度ほど返し気と体重を足の爪先に掛けながら息を引くと、お腹で気と力が地と天に別れ、下肢と上肢が気と力で満ちる。足の膝から腰、そして腹が気で繋がり、一本になる。手は肘から肩、胸鎖関節まで気で繋がる。そして足は足底からくるぶし、膝、腰、腹と一本に気と筋肉で繋がり、手は手の平から手首、肘、肩、胸鎖関節と一本の手となる。
  4. ここで息を吐くと一本の足の末端の腹に満ちた気・息と一本の手の末端の胸に満ちた気と息がひとつになり、気と息が手、足、体全体から出るようである。技はこの気と力をつかうことになる。
まだ、十分に満足できる状態ではないが、気の出る稽古を、当分の間、これで続けてやっていこうと思っている。