【第726回】 天の気、天地の呼吸、地の呼吸・潮の満干と正面打ち一教 <その2>
前回の<その1>に続き、今回は大先生の「天の気、天地の呼吸、地の呼吸・潮の満干」の教えを、極意技である正面打ち一教でどのようにつかうことになるのかを研究してみたいと思う。*は私の捕捉・解釈である。
- まず、天の浮橋に立たなければならない、そして
- 天の気と結び、天の呼吸で息を天から地に落とし、
*天の気と己を結び、天の呼吸で丸く息を吐きながら地に落す
- 足下から気を左に回転させ落す。
*この天の呼吸がないと地の呼吸が生まれず、体も動かない。つまり、“天の呼吸との交流なくして地動かず”“天の呼吸により地も呼吸する”ということである。
- 地の呼吸で体重を他方の足に移動しながら、体を右に回転させ手を伸ばし、
*息を引きながら、足下に左回転で舞い降りる気と右に舞い上がる手と体の摩擦連行である。舞い上がる手は天の気に向かい、引き付けられて上がる。草木が天の気に向かって伸びていくのと同じはずである
- 相手の打ってくる手を、己の手を充分に伸ばし、相手の手と接する手先に気と力を入れ、相手の手と全体を手で抑える。剣であれば、相手を切り下ろした形になるわけである。
*これは引き続き息を引く地の呼吸であるのだが、相手を抑えるために腹を締めるが、この際もまだ息は地の呼吸で引き続けていなければならない。この地の呼吸で息を引きながら腹を締めることが潮の満干の潮満の玉(赤玉)であると感得する。
- 今度は気で満ちた胸を開きながら体重を他方の足と手に移動し
*引き続き息を引きながら、更に胸に気を入れながら手を横に拡げる。わけだが、これが潮の干満の潮干の玉(白玉)であると感じる。
- 天の息を吐きながら体と足と手を収める
*後は息を丸く吐いて体と技を収めるが、これは天の呼吸である
従って、正面打ち一教(恐らくすべての合気道の技)の呼吸は、
天の呼吸⇒地の呼吸⇒潮満の玉(赤玉)⇒塩干の玉(白玉)⇒天の呼吸
となるはずである。
これが「天の気、天地の呼吸、地の呼吸・潮の満干」をつかった好例であると思うが、この理合い・法則ですべての技(形)をやればいいし、やらなければならないと考える。例えば諸手取呼吸法などは、この理合いでやらなければ、力で抑えられてしまうことになる。
また、剣もこの天地の呼吸でやらなければ、合気の剣にはならないと思う。これを大先生は、「大宇宙のご全徳を一つの剣にても天地の呼吸に同化する。息を出す折には丸く息をはき、ひく折には四角になる。」(武産合気 P.76)と教えられているのである。
まだまだ十分には出来ないが、理合いが分かれば後は稽古をして、反省、改善していけばいいと思っている。
Sasaki Aikido Institute © 2006-
▲