【第715回】 現代美術作家高橋秀布と合気道
テレビを見ていたら、現代美術作家高橋秀布画伯(写真)のドキュメンタリ番組で、非常に面白く勉強になったので最後まで見せて貰った。
画伯は89才で、切り絵作家であり詩人の奥さん94才と共に、瀬戸内海の海辺に暮らして創作活動をしており、東京などで展覧会を開催している。二人合わせて183才とご高齢にもかかわらず、素晴らしい作品をつくられ、ますますお元気で活躍されているのが素晴らしい。
この番組での高橋秀布画伯からはいろいろな教えを受けた。これらの教えは、この歳にならないと出来ないように思え、勉強になるし、これからの合気道が進むべき道であるようにも思える。
心に残ったその幾つか書いてみる。
- “一本のあるべき線がある。何本も描いてみると分かる。”と言う。
画伯は何本もの線を描き、そして不要な線を消し、あるべき線を一本だけ残した。
これを見ていると、合気道の形稽古ではないかと思った。何度も同じ形を繰り返し稽古をして、一つのあるべき形にしようとしているのである。これが合気道の形稽古の意味であろうと実感した次第である。
- “アートで世直ししたい”と言われた。“アートを見て自分を大切にするようになると他人も大切にする”からであると言う。
これは合気道の目標である地上天国の建設と同じであり、アートも地上天国建設の精神に奉仕する同士・仲間であるということであろう。
- 上記に関連して、画伯は、“生きる喜び感を提供したい”、そして“喜んでくれ、勇気づけられる人がいれば幸せ”と言われている。
これも先述の、合気道における地上天国建設の生成化育のご奉仕ということになるだろう。
- “仕事以外は何も考えていない”とも言われた。一つの事をやり遂げるとは、そのこと以外の事を考えては駄目だということであり、世に名と実を残された方々はすべてそうであったはずである。仕事以外の仕事とか一つの事とは、天かから与えられた使命と思い、それが地上天国建設のためにお役に立つと信じておられると感じた。
他の分野の同士・仲間も頑張って宇宙天国建設の生成化育をしている、合気道家もぼやぼやしていられない。
参考文献 NHK日曜美術館「秀と桜 海辺のアトリエ」
Sasaki Aikido Institute © 2006-
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