【第710回】 赤玉白玉と建速須佐能之尊

合気道の聖典である『武産合気』『合気神髄』が少しずつ読めるようになってくると、大先生の教えに従って稽古をしていかなければ上達がないことが増々明瞭になってくるし、その教えに従っていけば必ず上達すると確信してくる。
大先生の教えは沢山あるわけだが、先ずはわかるところから一つ一つ身につけて、それを積み重ねていくことである。例えば、陰陽十字、イクムスビ等である。そして段々とそれを統合して技をつかえばいい。これで合気道の基本的な形が出来てくるはずである。
次に二つ及び複数の教えを組み合わせてつかうのである。技に大きな変化が出、これまでとは異質の技が産まれることになる。
今回は、この二つの教えの組み合わせの技づかいを研究してみたいと思う。

ここでの教えの一つは、赤玉白玉の教え、もう一つの教えは、建速須佐之男大神のみ働きの教えである。この二つの教えを組み合わせてやることによって、個別にやるよりも強力で激しい禊ぎ技が産まれるのである。

赤玉白玉の教えで、開祖は、「天の気は日々、地と結んで潮の干満、その玉(赤玉白玉)をいだいて行うのが合気道である」「人々のみそぎとなるには、赤玉白玉に神習うことである」「天の呼吸、地の呼吸(潮の干満)を腹中に胎蔵する」等と言われる。
以前に書いているように、天と地を結んで天の浮橋に立ち、息を吐いて地と結び、阿吽の阿で息を引くと腹に玉が産まれる。体の陰陽十字に従って、この玉が赤玉になり白玉になる。
呼吸法でも正面打ち一教でもこの赤玉白玉をつかわないと技は上手く効かない。
尚、大先生は「日月の気と天の呼吸と地の呼吸、潮の干満との四つの宝を理解せねばいけないのである」(「合気真髄」)と教えられておられるわけだから、この潮の干満である赤玉白玉を理解しなければ合気道にならないことになるわけである。

次に建速須佐之男大神のみ働きの教えである。
合気道は気の修練の修行であり、気の修行修練は力の大王ともなり、武道の大王である須佐之男大神と共にするのであると、大先生は「気の修行修練は須佐之男大神とであり、力の大王ともなり、武道の大王ともなるのである」 (合気神髄p151)と言われているのである。
また、気の修練を松竹梅の竹の修行といい、この竹の修行であり、気の修行を建速須佐之男大神であると言われている。

赤玉と建速須佐之男大神の竹の技づかいをすると、強烈な潮の干満を産みだすことができる。まるで台風や暴風のような荒びであり、竹のような柔軟性がある。このような荒びは赤玉白玉だけでも、建速須佐之男大神様だけでも難しいと思う。建速須佐之男大神に天之むら雲九鬼さむはら大神が下って、建速須佐之男大神のみ働きにご一体になられなければならないのだが、そのためにも赤玉白玉が必要になるように考える。
大先生は、天之むら雲九鬼さむはら大神は建速須佐之男大神のみ働きにご一体となられ、合気道修行者の体に結びついておられると「天之むら雲九鬼さむはら大神が下って、建速須佐之男大神のみ働きにご一体になられた。この神は合気の道にくい入りくいこみくい止って、血脈の如く合気をなす人の体に結び付いておられるのであります。」と言われているのである。
稽古人の誰にも結びついておられるのだから、後は建速須佐之男大神のみ働きができるようにすればいいことになる。