【第702回】 失敗を成功のもとに

半世紀以上合気道の修業を続けている。年も80近くなった。これまで合気道の修業でも紆余曲折、いい事も悪いことも、上手くいったことも、失敗もいろいろあった。勿論、修業と言えるようになったのは、ここ数年前からであった、それまでは稽古であった。どこが違うかと言うと、稽古は“古を見る”ということで、道場で先人が残してくれた形や考えを学ぶことだと思う。主に、道場で稽古相手と切磋琢磨することである。
一方、修業は、端的に云えば、宇宙の営みを形にした、宇宙の法則に則った技(業)を探究することであり、また、道場は勿論のこと日常生活に於いても、合気の道を探究し、時間や所に関係なく、万有万物と共に技と心と体を精進していくことではないかと考えている。

いろいろなモノや事が大事な事を教えてくれる。年を取るに従って、それが増えるようだ。鳥の声や、虫の鳴き声、草や花や木、お日様やお月様、山や川、雨や風などなど、いろいろ教えてくれる。若い頃、稽古時代には気がつかなかったモノや事を楽しんでいる。

残念ながら、稽古も人生も楽しんでいられるばかりではない。偶にはそのしっぺ返しであろう失敗がある。失敗はマンネリになったり、調子に乗っている時にやってくるようだ。
失敗はなるべく避けたいとは思っているが、スキがあるとやってくるようだ。やってきてしまって、失敗してしまえば、それは起こってしまったことであるから事実であり、逃げることも元に戻すことも出来ないから、受け入れるしかない。どう受け入れるかと言うと、その失敗をポジティブに受け取ることである。失敗したことを、これから先のための糧にするのである。例えば、

  1. それまでのこれでいいというやり方や奢りなどに喝がはいったと反省すると同時に、己を叱咤激励するのである
  2. 失敗から学ぶことが出来るのである。その失敗の原因を捜し、そしてその解決法を見つけることである。ここから大事な事が分かるはずである。
この失敗を経験していなければ、1と2に気がつかずに一生を終わるか、又は後で更に大きくなってこの失敗をするかも知れないのである。
負け惜しみかも知れないが、失敗もいいと思っている。世間でも言われているように、“失敗は成功のもと”とも言われている。経験上、これまでの失敗からいろいろ学んだ。そのために、失敗はポジティブに捉え、活かして来た。
勿論、これからも不本意な失敗はあるだろうが、なるべく失敗をしないで精進出来るようにしたいものと思っている。しかし、失敗は成長にもつながるようなので、失敗を恐れずに進んで行きたいとも思う。