【第701回】 手先と腹と足先の一致

技を掛ける際に手をつかうが、手をつかうからといって、手を無暗につかっても技にならない。無暗につかうとは、手を腹との結び無くつかうこと、そして手を腹や足の前に動かすこと等である。
これまで手は腹と結び、腹で手をつかわなければならない、また、腹→足→手の順でつかわなければならないと書いてきた。

これは法則であるはずだから、この法則に則って手をつかわなければならないが、これではまだ不十分で、技は上手く極まらないようである。つまり、この法則は必要条件であるが、十分条件ではないということである。
それ故、十分条件に近づくために更なる条件を研究しなければならない事になる。
それは手と足を結んで使う事である。

手と腹を結んでつかう、そして足と腹を結んでつかう事はそれほど難しいことではないが、手と足を結んでつかうのは少し難しい。手は腹と結ばなければならないし、左右の手を陰陽十字でつかわなければならないし、足も腹と結んで左右陰陽につかわなければならないわけだから、手のつかいだけでも大変な所に、足も法則に則ってつかわなければならない。その二本の手と日本の足を結んでつかうのだから容易ではないわけである。

相対稽古でわかるはずだが、技を掛けて極める際、腹と結んだ手で掛けても十分に極まらないものである。二教裏小手回しなどその典型であろう。
技が十分に極まるためには、手と腹、そして手と足が結びつかなければならない。
もう少し詳しく言うと、腹と結んだ手先と足先が一つにしっかり結びつかなければならないということである。この腹と手先と足先の三つがしっかり結んだとき、大きな力がうまれるのである。
二教裏はこれでないと極まり難いが、呼吸法でも四方投げでも全て同じである。また、剣を切り下ろすときも同じである。

腹と手先と足先の三つの結びとつかい方を、手の素振りの切り下げでもう少し詳しく説明すると、腹と結んだ手を腹で切り下ろすが、切り下ろした手先は足先の母指球と結ぶ。これで手先と腹と足先が一致したことになり、大きな力が出るのである。手先と腹を結んだだけではこれほどの力は出せない。
手先と母指球が結ぶためには、体重を踵(かかと)→小指球、そして→母指球に移動したところに合わせるのである。

勿論、このためには足と腰腹を陰陽十字につかわなければならない。