【第7回】 毎日やり続ける自主稽古

自分にとっていいと思う自主稽古を毎日続けるのはいいことである。いい自主稽古とは、自分の長所を伸ばしたり、短所をカバーしたり、自分の目標や理想に近づくためのものであるから、人によってその内容ややり方は違ってくるはずである。また、人はそれぞれ生活環境や稽古へかける比重もちがうので、稽古時間や稽古内容も違ってくるだろう。

いづれにしても何かを毎日やるのはいい。木刀や杖の素振り、四股踏み、船こぎ運動、体さばき運動、腕立て伏せなど等、一つでも複数でもいいが、無理のない数や時間でやるのである。あまり数を多くしたり時間をかけると続かなくなってしまう。木刀を100回素振りするとしたら数分で終わる。これなら無理なく続けられる。勿論、10回でもいいし、1回でもいい。要はそれを毎日続けることである。しかし、10年、20年と続けていくと体ができてくるだけでなく、いろいろなことが見えてくる。

どうも人は本能的によくなろう、上手くなろうとプログラミングされているようである。毎日同じことをしていると、毎回の稽古中になにかの閃きがあるか、少なくとも一つの発見はあるし、また、そうあるべきである。この発見が積もり積もってくるとなんとか格好がついてくるが、もっと大切なことは自分で何かを発見するということにある。

名人、達人といわれた人たちは、一人稽古から大切なことを学んだようだ。大東流合気柔術の故佐川師範は亡くなる直前まで毎日一人稽古を続けられていたといわれる。どんな稽古をされていたのかは不明ということだが、毎日、死の直前までそのメニューをこなされていたということは、この毎日続けることの重要性を我々に教えてくれていると思う。