【第698回】 股関節を∞に

技をつかうに当たっていろいろと法則がある。手と腹を結んで、腹で手をつかう。体の内で技を掛ける際、つかう主な部位は手、足、腹であるが、つかう順序は腹、足、手となる等であるが、この法則によって、大きな力が手にあつまり技が効くことになる。
技をつかう際に最初に体の中心にある腹をつかわなければならないが、腹をつかう、それも最初につかうとはどういうことなのかを研究してみることにする。

手と腹を結んで、腹で手をつかうのは、体重(体の重さ)を腹に集めてその体の力を手に集めるわけだが、そのためには、合気道の思想と技 第696回『魂を上に魄を土台に進むための赤玉白玉』に書いたように、玉の移動によって体の重心を移動しなければならない。その為には腹を∞につかわなければならないことになる。しかし、これは腹をハワイアンダンスのように動かすことではない。武道であるから、外からは見えず、察知されないようなつかい方をしなければならない。

腹を∞にするためには、股関節を∞につかわなければならない。そのためには、股関節を下記の図のようにつかうのである。

  1. 天からの息を阿吽の吽で地に足を通して下ろし、そして阿で息を入れると
  2. 股関節が平行線よりも天に上がり、足も浮く(上がる)
  3. 浮いた足を地に下ろすと反対側の股関節が天に上がり、足が浮く
以下同

∞に股関節をつかうためには、股関節を上下左右と十字々々につかわなければならない。足の十字でもある。

股関節を阿吽の呼吸で下図のようにつかうと、玉の腹は∞に動く。
この力が手先に伝わると全体重が手先に掛かることになる。魄の土台ができたことになる。後は、接点の手は動かさないで、股関節を息で動かせばいい。
魄を土台にし、魂(心)で進んで行くわけである。

体で最初に動く部位は腹、股関節である。体の中心から動かすことになり、理に叶っている。末端を動かすより効率的であるからである。
これは外からでは見えないので、他人のモノを見て真似するのが難しい。自得する他ないかもしれない。
これが武道の本来の姿ということなのだろう。