【第696回】 魂を上に魄を土台に進むための赤玉白玉

合気道は技を練り合って精進していくが、技をつかうに力は要る。ただし、理合いの力である。
小柄な人の体重50,60kgでも片手で持ち上げることはできない。この50,60kgの体重を相手が掴んでいる手に懸けたり、相手が打ち下ろしてくる手に掛ければ、相手は無暗にこの手を自由に動かすことも、その身を動かすこともできなくなる。要る力はこの体重である。そしてこの力を理合いでつかうのである。それがこの力の魄を土台にして技をかけるということである。

しかしながら己の体重はなかなか相手との接点に掛からないものである。体重をその接点に掛けるためには、手と足と腹が一つにならなければならない。とりわけ、腹と足が一軸になり、腹が足(股関節)の上にくるようにしなければならない。この一軸から一軸への移動で技をつかうのだが、この時、お腹に大きな水晶玉が入っていて、その玉が移動するイメージをすると、玉と共に己の重心が移動し、潮が満ちたり引いたりする潮の干満の赤玉白玉を実感する。大先生が言われている潮の満干の赤玉白玉を感じるのである。

玉は左右に移動するを繰り返すので次のような形で動くことになる。

この赤玉白玉の∞の動きで体重も∞に動くので、この体重の力を手に伝えて技をつかえばいいのである。手に赤玉白玉の力、体重の力が集まったら、この力(魄)を土台にしてこれを動かさず、心(魂)で己の体と相手を導き、技を掛けるのである。
これが、「魂を上に魄を土台に進む」ということであると考える。

赤玉白玉を∞に動かすためには、股関節を上下左右で∞につかわなければならない。しかも、息に合わせてつかわないと難しい。
何故ならば、赤玉白玉は日月の呼吸によって活動すると、大先生は「天地の呼吸は、赤玉も白玉も日月の合気によって、生命を現わすのです。日月の呼吸と潮の干満の交流で、生命を造るのです。」と言われているからである。