【第692回】 宇宙の法則とホーキンスの自然法則
合気道は技を錬磨して精進していく武道であり、その精進の目標は宇宙との一体化であると教わっている。そして宇宙との一体化に進むために、宇宙の営みが形になり、宇宙の法則に則った技を身につけていく。宇宙の法則には、陰陽の法則、十字の法則等‥がある。
合気道を創られた植芝盛平先生は、宇宙が始まったときから、その営みには法則があり、その法則に合した技と体をつかわないと、技が効かないだけでなく、体を壊すと言われておられる。
これまで大先生の教えに少しでも従おうと稽古を重ねてきたが、心のどこかで宇宙の法則が本当にあるのだろうかとも思っていたようである。
しかし、最近では、この合気道の「宇宙の法則」が、科学の世界でも取り上げられるようになった。これは喜びであると同時に、大先生の素晴らしさを再認識させられることである。
イギリスの理論物理学者で、2018年3月に78才で亡くなったスティーヴン・ホーキング博士(写真)は、物理学、理論物理学、天体物理学、宇宙分野で活躍されていたが、「宇宙の法則」に関して、『ビッグ・クエッション』(NHK出版)で、次の様に語っている。尚、ホーキング博士は、「宇宙の法則」を「自然法則」という言葉でつかっている。
- 宇宙は原理または法則によって支配された機械であり、宇宙を支配するその法則は、人間の頭脳で理解することができるのだ。(P.41)
- 自然法則は起こることのいっさいを支配している。しかし、ほんとうに重要なのは、物理学の法則(自然法則)は変えられないということ、さらに宇宙のいたるところで同じだということだ。(p.41)
- 人間が作った法則とは異なり、自然法則は破ることができない ―― 自然法則がきわめて強力なのはそのためだし、宗教的な観点から見たときに物議をかもすのもそのためだ。(p.41)
- 私はアインシュタインと同じく、「神」という言葉を、人格を持たない自然法則という意味で用いる。したがって、神の心を知るということは、自然法則を知るということだ。私の予想では、今世紀の末までに、人類は神の心を知ることができるだろう。(p.42)
これで宇宙に宇宙の法則(自然法則・物理学の法則)があることが、科学の世界でも認識されたことになる。大先生は、合気道は科学であると言われていたが、まさしく合気道は科学なのである。
これで宇宙の法則の存在が確証したので、宇宙の法則を少しでも多く会得し、ますます宇宙との一体化に進んで行きたいと思う。
参考文献 『ビッグ・クエッション <人類の難問に答えよう>』(NHK出版)
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