【第69回】 手の返し

合気道の技はほとんどが手で処理するものである。従って、手の使い方は非常に大事である。手先に体からの力が集まり、手から大きな力を出すためには、手先と腹がむすび、肩が貫けていなければならない。手を持たれてふらふらするようでは、まだ腹とむすんでいないので技は十分にかからない。この二つが出来ないと難しいが、手の使い方で大事なことの一つが、「手の返し」(手の回転、手のねじり)である。

「手の返し」というのは、技をかけるとき手を使うが、手がある点からある点へ移動する場合は、必ず手が返える(通常45度)。手が返えらないと、相手の手が切れてしまったり、相手に力が伝わらず、相手を崩すことも出来ないし、相手をくっ付けることもできない。「手の返し」は重要である。

この「手の返し」を意識して稽古するのは次のような形(かた)を繰り返し稽古するのがいいだろう。

〇 片手取り転換法(逆半身、以下同)
〇 片手取り呼吸法
〇 片手取り四方投げ
〇 片手取り回転投げ
〇 片手取り内回し小手返し
〇 後両手取り

「手の返し」で注意しなければならないのは、相手との接点を動かすのではなく、その対極にある腹や腰から動かすことである。そしてそこから来る力を持たれている手に集め、相手の手をくっつけたまま「手を返し」ながら相手を導く。

上記の基本の形(かた)が上手く出来ない場合、手の返しができていないことが多いので、この形を繰り返して、「手の返し」の稽古するのがいいだろう。