【第685回】 姿勢をよくする

年を取ってくると姿勢が悪くなってくるといわれるし、確かに悪くなる。
自分自身も姿勢は悪いので、これからもっと注意しなければならないと痛感している。
高齢者でも姿勢のいい人はいる。私の親父も亡くなるまで姿勢はよかったし、若い時、私の姿勢をよく注意してくれた。ということは、高齢になったから姿勢が悪くなるという法則はないということである。心がけ次第、努力次第で姿勢は良くも悪くもなるということなのである。

あるテレビ番組に、姿勢のいい名の知れた女性が、何故姿勢がいいのかという問いに答えて、常にお腹を引っ込めて胸を張るようにしていると答えていたのが印象的だった。これを早速試してみたが、確かに姿勢をよくするには効果的であることが分かった。

合気道の技をつかう際の呼吸は阿吽の呼吸であるが、この阿吽の呼吸を激しく動く技でつかうのは、はじめ容易ではないものである。そこでこの阿吽の呼吸を、腹を引っ込めて、胸を張るようにすると容易に上手くできるのである。これで合気道の相対稽古で技をつかう際、また、歩いたり座ったりする際でも、阿吽の呼吸が容易にできるし、姿勢をよくすることもできるようになるはずだと考えている。

猫背にならないように、お腹を引っ込め、胸を張り姿勢をよくするのはそう難しくない。武道や阿吽の呼吸を知らない一般人でもやっているからである。しかし、武道を知らない一般人が何故、それで姿勢が良くなるのかは説明できないようだ。
われわれ武道家は阿吽の呼吸を知っているので、何故、お腹を引っ込め、胸を張れば姿勢がよくなるのかを説明できる。
阿吽の呼吸のアーで息をお腹に入れると腰のところで息が胸まで上がり、胸が膨らみ、胸が拡がり、背中が縮むのである。仁王さんの姿勢である。
ただ、お腹を引っ込めたり、胸を張っても駄目で、上手くやっている人は、無意識に吸う息づかいでやっているはずである。

合気道の稽古を阿吽の呼吸でやっていけば、猫背にならないいい姿勢になり、その姿勢を維持できるはずだと思っている。