【第676回】 魄の稽古からの脱出のための基本5カ条

20年、30年と合気道の稽古を続けていると、大きな壁にぶつかることになる。腕力では先に進めないということと腕力には限界があるということが分かってくるのだが、そこからどのようにすれば分からぬままに稽古を続けていることである。
この壁を乗り越えなければならないのである。

この壁を乗り越えるためには、魄の稽古から魂の稽古に転換しなければならないが、これは容易ではない。魄の稽古からの脱出、そして魂の稽古に入るわけだが、そのために何をどうすればいいのか、見当がつかないはずである。
50年以上稽古を続けている私も、何とか魄からの脱出をしようともがいているところであるが、少しその明かりが見えてきたので、後進のために、魄の稽古から脱出のためにどのような稽古をすればいいのか書いてみる。

魄の稽古からの脱出のために必須のことがある。それは、魄の稽古から脱出するぞという決意である。これがなければ先に進めない。この決意の基に稽古をすれば、魄力に頼らないために力を抜いて技を掛けてみるとか、これまで如何に腕力や体力に頼っていたのか、自分のモノと思っていた体が如何に思うように動いてくれないのか、技の難しさ、そして合気道の難しさ等々が分かってくるはずである。
いい先生や指導者がいれば、ここで正しい技うかいや体づかいなどを示したり、アドバイスして下さったりと手を差し伸べてくれるはずである。私の場合は、本部師範の有川定輝先生が手を差し伸べて下さっていた。しかし、今はそれがよく分かるが、当時はそれに気がついていなかった。

有川先生の教えの基本は、やるべき事をしっかりやることと、その積み重ねであるという事だと思う。また、合気道は武道であるから厳しいものであるので、自分自身に厳しい稽古をしなければならないという教え。そして有川先生の教えも素晴らしいが、やはり大先生の教えに従って稽古をしなければならないという事等であると思う。

この有川先生が昇天されて10年以上になるが、先生の教えと技づかい、体づかいをイメージしながら稽古を続けているわけだが、ようやく合気道、合気道の技などが分かり始めてきたようだ。
後進の稽古を見ていると、自分がやってきている事をやっているので、この段階にあり、こんな問題があること、その問題ならこうすればいいのになどと見えるのである。

そこで今回は、魄の稽古からの脱出に腐心している後進のために、魄の稽古からどのようにして脱出することができるかを、自分の体験からの具体的アドバイスをしてみたいと思う。

魄の稽古からの脱出のために、次のような技づかい、体づかい、そして息づかいをしなければならないと考える。それが独善的に決めた次の基本5カ条である。まずは、この5つの事を身につけることである。これができなければ魄の稽古からの脱出は出来ないと思う。
尚、別に6カ条でも10カ条でもいいが、最低に絞ってみただけの話である。勿論、10も100も1000もの基本があるはずである

技づかいのための基本5カ条:

この基本5カ条で技をつかわなければ、相手とぶつかったり、離れたりして、結局は腕力にたよることになるから、魄の稽古に逆戻りすることになる。

この基本カ条は自分のレベルでのものであるから、有川先生や大先生のレベルならば別な基本カ条があるだろう。しかし、この基本5カ条は入っているはずである。少なくともこの基本5カ条ができなければ、技は上手くつかえないし、魄の稽古から抜け出すことは出来ないと確信している。