【第671回】 息を更に十字につかう

合気道は十字道とも云われる。
大先生は、合気道は十字道である、と次のような道歌も読まれている。

これまで、技も体も、そして息も縦横十字々々につかわなければならないと、何度となく書いてきたが、更に息の十字について書く。
第649回の「息も十字で」で、体だけでなく、息も十字につぃかわなければならないと書いた。イクムスビの息づかいである。イーと縦、クーで横、ムーで縦の十字である。

今回の息の十字は、腹と胸、この縦と横の十字の息づかいである。これは容易ではないが、必須であると考える。
容易でないというのは、この為に、この前にやることがあるからである。
技を掛けるに際して、最初は手を振りまわして掛けてしまうわけだが、その後は腰腹と手足を結び、腰腹で技を掛けるようになってこなければならない。腰腹 ― 足 ― 手の順の体づかいで技を掛けるのである。次に息で技を掛けるようにするのである。イクムスビの息で腰腹、足、手をつかい、技を掛けるのである。
ここまでの事を身に付けて置かなければならないのである。

体を十字々々、息もイクムスビの十字でつかっても、技が上手く掛からないことがある。まだ息づかいにおいて、何かが欠けていて不完全なのである。
その研究の結果、三つの事が分かってきた。
  1. クーで引く息の中にも縦と横の十字の息づかいをしなければならないということ
  2. その十字の息は、腹から胸の縦に自然に上がってきて、胸から腕、手先の横に流れる。尚、この腹と胸での十字の息は、クーで引き続け(吸い続ける)息づかいの中でやるのである。
  3. この息づかいをすることによって、持たせている手・腕が肩から上に上がるようになることである。
    腹の息では、手は肩から上には上がりづらいものである。手が肩から上に上がらないから、その手が相手にぶつかってしまい、技にならないことになるようだ。
例えば、片手取り呼吸法で、クーで息を引きながら、手を上げて相手の首や胸に当たるが、そこでぶつかってしまい、相手がちょっと頑張ると倒すことはできなくなる。また、二教裏でも、相手に頑張られると倒せなくなる。更に、四股を踏むにも、不安定になる。
このような問題を解決するためには、上記のクーの息づかいの中で、更なる腹と胸の十字の息づかいをするのがいい。