【第667回】  一霊四魂三元八力の稽古

合気道は技を錬磨しながら精進するが、その技は宇宙の意志と営みに則って身につけていかなければならない。
宇宙の意志と営みとは何かというと、それは一霊四魂三元八力である。「この世は、一霊四魂三元八力のご活動によって出来上がっているのである。」(武産合気 P.80) 一霊四魂三元八力の大神の営みの姿、つまり、技は一霊四魂三元八力の宇宙の活動の生ける動きの姿に合わせるようにつかい、練っていかなければならないということである。

真の武である合気道は、「宇宙の完成に向かって導くものである」(武産合気 P.89)。これが一霊の意志、宇宙の意志と営みである。
このために、四魂のように技をつかわなければならない。
四魂の働きは、奇霊、荒霊、和霊、幸霊である。
大先生は、奇霊を「奇霊とは理であり、これみな一元の全徳の現れである」(武産合気P.83)と云われる。これを稽古とどう結びつけるかというと、一元の意志、宇宙の完成に合致するよう、一元に結び、理合の技づかいをしなければならないということだろう。
荒霊を、「荒霊は地上の最初のみ働きで法というものが成り立ってくる」(同上)と云われる。これは宇宙の働きの法に則って技をつかい、体をつかうことだろう。
和霊を、「和霊とは、礼をもって徳とする。即ち和であり和合である。そこに結びといっていくたまともいう」(同上)と云われる。これは稽古相手と結び、一体化してしまうことであろう。
幸霊を、「幸霊とは、慈愛であって道である」と云われる。天地の営みの道より理解して、法が行なわれ、和合が行なわれ、礼が行なわれる道であり、この道に乗るように稽古をしなければならないということだろう。

次に三元である。大先生は「気の世界・気・流体・柔体・固体の世界というように、各層をすべて浄める」(同上)
つまり、まず気や血液などの流体を鍛える。力一杯技と体をつかい気持ちを練り、汗をかき血液やリンパ液などを浄める。次に筋肉のカスを取り去り、柔軟で強固な筋肉をつくり、そして骨や関節、そして体も柔軟で堅固にすることであろう。

最後に八力である。八力を大先生は、八力を「動、静、解、疑、強、弱、合、分」と云われている。尚、一般的には、「動、静、引、弛、凝、解、分、合」(本田親徳)とも云われるが、いずれもこれらの力は動と静、引と弛、凝と解、分と合と対照的な力である。この力は引力でもあるわけである。
八力は体の働きになるが、三元の働きによって八力が働くはずである。
大先生は、「体については三元八力という働きがある」と、三元と八力が結んでつかわれている。因みに、一霊四魂は、体に対しての霊の働きである。

「この三元八力の引力によって、大地を全部固めしめて、一つの大きな全大宇宙という活動機関が出来上がった。」(武産合気)といわれるわけだから、三元八力を鍛え、体(大地)全体を強靭にし、宇宙と結び、一体化した技がつかえるようにすることだと考える。

「一霊四魂三元八力や呼吸、合気の理解なくして合気道を稽古しても合気道の本当の力は出てこないだろう」と大先生は言われている。一霊四魂三元八力の稽古をしなければならない。