久しぶりにいいニュースが入ってきた。スーパーボランティアの尾畑春夫さんのご活躍である。三日間も行方不明になっていた2歳の藤本
理稀君をお母さんに、約束通り手渡すと、お風呂や食事(多分)の御礼も断って、自宅に戻ってしまったという。そして、また、ボランティア活動をしていた広島にもどったというのである。
清々しい話しであるし、頭が下がる。
恐らく、これまで高齢者を弱者と見たり、無視していた若者も、これで高齢者を少し見直したのではないかと思う。そして自分も、尾畑さんを見習って、人のためになるようなことをしたいと思うだろう。そしてまた、年を取ってもできることがあるということも分かっただろう。
年を取らなければできないこと、年を取った方ができることが沢山ある。尾畑さんの場合も、78才という年齢だから救出に成功したと思う。年を取られたことによって、あのような自由な行動と正しい判断、そして潔ぎよさ等ができたと考える。
尾畑さんのような高齢者が沢山出てくれば、若者の意識が変わるだろう。
若者の元気がないのは、高齢者にも責任があると思っているからである。
若者はどのように生きていいのか迷っているはずである。それは自分自身のことを思い返してみればいい。自分がいずれ成るだろう高齢者が、みすぼらしく、魅力がなければ、若者に年を取る意味を与えることはできないし、強いて言えば、若者から生きる希望を奪ってしまうことになるはずである。
合気道では、現役で90才間近かで活躍されておられる先生が居られる。多田宏師範である。90才で若者が足元にも及ばない技と体をつかい、若者羨望の的である。先生の素晴らしいのは、技や元気などの他に、常に自分と挑戦されていることである。間違いなく先生は、100才への挑戦をされておられると思うし、私はそれを楽しみにしている。出来れば先生の100才の演武が見られれば幸せである。
若者に何か励ましになるようなものを与えるのは容易ではない。与えようと思っても、大体は拒否されてしまうものだ。黙って一生懸命にやったことを見て、若者はそれを必要と思ったり、面白いと思えば、自ら取り入れていくものである。尾畑さんは、ただ黙ってやってしまったから、人に感動を与えたのである。そして若者にも影響を与えたはずである。
合気道でも、年を取って、若者に稽古と人生への励ましができればいいと思っている。そのためには自分との挑戦を続けるしかないようだ。