【第630回】 地上天国・楽園建設に向かって

合気道の目標は地上天国建設のお手伝いであるとも云われる。地球上を楽園にするのである。
今はまだ、地球上のあちこちで戦争や争いがあり、それがいつ集結し、そして地球が楽園になるか見通しもつかないが、われわれ人間は地球楽園のために出来ることをやっていくべきだと考える。とりわけ合気道を修業している者、更にまた、最早、社会にしがらみのない高齢者はやっていくべきだと考える。

地上天国・楽園建設のお手伝いといっても、われわれ凡人は大上段に構える必要はないだろう。大先生などとは違っていい。分相応な事をやればいいはずである。
我々が無理なくできる、地上天国・楽園建設のお手伝いにどんなことがあるか、最近、考えていることを書いてみる。

地上天国・楽園のための必要事項は戦争や争いの有無だけではない。他の要因もあるので、その要因を見出し、改善し育てればいいはずである。

それではどんな要因が、地上天国・楽園建設の要因になるかが分かれば、その要因を見つけて、それからやっていけばいいと考える。
例えば、まず、地上が天国・楽園だったなら、みんなが楽しく暮らせるはずである。楽しいというのは、生きていることに喜びを感じことであり、そして生きている事やまわりの人たちや社会に感謝することになるだろう。合気道で求めている「愛」に満ちた世界である。
大先生は、「地上すべてのものは全大宇宙の愛の御働きであるから、すべてのものが一体にまつり合わせることが宇宙の心である」と言われているから、「愛」こそが、宇宙が創造しようとしている天国・楽園の核心であるはずである。

それでは具体的に、われわれは何をどうすればいいのかということになる。
身近な事から入っていく。
現代のビジネスや商売の主流は儲け主義といえよう。儲けるために商売をやっているわけである。これが現代社会の争いの基だろう。

何時の時代にも経済は大事であるが、商売の原点に帰るべきだと思っている。商売の原点の理念は、「我が国の経済は精神と物質と一如であります。日本では「売る」方が先であり、日本のすべて「誠」を売り込む、「愛」を売り込むのであります。(合気神髄P.47)」と大先生が言われているものである。この理念に反して、儲けるために商売をすれば、愛がない商売になり、争いや種々の問題を生じさせることになるわけである。

本来の商売の理念にもどって商売をしてほしいと思っているし、それを応援したいと思っている。
私が最近、地上天国・楽園のためにやっていこうとしているのは、出来るだけ相手も楽しく、気持ち良くなるように対処し、生きることである。そのためには、有難うの感謝の気持ちと、言葉と笑顔を大事にしている。
お店でもどこでも、その気持ちと言葉と笑顔があるところに行くようにし、そこの商売の応援をしたいと思っている。
その店は客に、“よくお出で下さいました。ゆっくり楽しんで行って下さいとか、いいものを見つけて下さいという気持ちと言葉で客を迎え、帰りには、買ったモノでお楽しみくださいとか、また、食事をした後なら、いい時間をお過ごしください、そしてまた当店へ楽しみに来てください、有難うございました”などの気持ちと言葉の交流、そして笑顔があるのである。
私の方は、楽しい時間や料理への感謝の気持ちと、有難う、お世話になりした等の言葉でお礼を言うと共に、その店へ頻繁に行くようにしたり、プラスアルファで注文したり、そしてこのお店が繁盛するように祈ったりしている。
今のところ、このようなお店はまだ数件軒しかないが、増えることを願っているところである。

これからは、モノから心へ変わっていかなければならないと考えるのである。実際、世の中は少しずつでもそう変わっているように見える。
それで十分であろうと我々素人は思うのに、決して満足せずに、極限まで挑戦しようとする職人の名人芸や匠の技などは利益を考えたらできないはずである。このように損得勘定抜きの人たちもいる沢山いるようでうれしいかぎりである。損得勘定とはモノの世界であり、それを度外視するのは心の世界ということになろう。

最近では、行列のできるラーメン屋などが話題になっているが、理由は少しでも人に喜んで、楽しんでもらおうと仕事をしているからであるはずである。だから、人は彼らを高く評価し、場合によっては金に糸目をつけないことにもなる。儲けよりもまずお客に喜んでもらう、そしてその結果として儲かる。これが理想の商売であろう。これもモノから心にの商売ということになるし、愛の商売ともいえる。

地上天国・楽園は「愛」の心と言葉だと思う。「愛」とは、相手の立場に立って考え、行動する事だと考える。この愛が地上に満ちていけば、それだけ地球は天国・楽園に近づくと考える次第である。後はみんなでそれを実践することである。