【第614回】 高齢者の挑戦

若い頃は、高齢者になれば仕事から解放され自由になり、時間もできるのでのんびりと日々を送れるものと思っていた。しかし実際に職場から離れて高齢者になると、その思いは裏切られてしまった。今の方が若い頃より緊張した毎日を過ごしているのである。

仕事をしていた若い頃は、仕事に挑戦してその仕事が達成されれば満足できたわけだが、やるべき仕事の意味や目標などはわかっているわけだから、それほど難しいわけではない。当然、若い頃はこのようなことは分からず、四苦八苦したこともあるが、今、思えば大したことではなかったと思う。

今は日々刻々の挑戦である。挑戦することは多々ある。
しかし挑戦していることは金にもならないし、名誉にもならない。自分への挑戦である。
何に挑戦しているかというと、自分の好きな事である。それは勿論、合気道だ。自分の合気道の理論と実践を探究していくことである。
好きな事、やるべき事をやることが使命であり、天命であると考えている。これは自分自身がわかることである。使命は各人誰もがもっていると開祖はいわれているし、そう思う。

合気道の理論と実践の探究が、私がこれから生きていく上での目標ということになるわけである。この目標に挑戦しているわけである。そしてこの目標への挑戦こそ真の挑戦ということになるはずである。この目標にどれだけ近づけるのかの挑戦ということになる。

この真の目標への挑戦のために、更にいろいろな挑戦が必要になる。
目標達成のためには、例えば、健康で長生きしなければならない。健康と長生きへの挑戦である。
更に、健康で長生きのためには、運動、食事、睡眠、快便が大事になるから、運動、食事、睡眠、快便への挑戦ということになる。

運動は合気道の道場でもやっているが、基本的には自宅での禊ぎでやっている。剣や杖を振ったり、四股を踏んだり、念入りな柔軟運動などを毎朝やっている。1時間から2時間ほど汗をかいて水を浴びるのである。大事な事は、毎日やることである。体等がいろいろ教えてくれるのである。少しでも多くの教えを受けるために、一生懸命に禊をしなければならない。運動への挑戦である。

食事は、一日3回、食べたいものをバランスよく食べる事である。また、体重が落ちてきたならば、無理しても少し多めに食べるようにしたり、皮膚がカサカサになってきたようならば、アルコールを控えたり、野菜や果物を多めにとるように心掛ける。食事にも気をつかう、食事への挑戦である。

睡眠も大事である。仕事に行かなくなると何時まで寝ていてもいいわけだが、自分で起きる時間を決めた方がいい。私もいくらでも寝ていられるタイプなので、朝は遅くとも7時には起きると決めた。もう少し寝ていたい時もあるが、今のところ6時半には起きている。睡眠への挑戦である。

年を取ってくると快便は大事である。食べたモノが胃腸に溜まっていては不快であるし、不健康である。毎朝、快便が必要である。
快便のためには、上記の運動、食事、睡眠が重要であると思われるので、これらの挑戦が関係してくるはずである。その他、決めた時間にトイレにいくことだと思う。もようそうがしまいが、取り敢えずいくことが大事である。年を取るとおっくうになり、後にしようと思ったりすると、後で大変なことになりかねないからである。便秘にもなりやすくなるだろう。
尚、便秘になった時の解決法は、「第608回 便秘の合気道解決法」に書いてある。これも快便への挑戦である。

合気道の理論と実践を探究のためには、この他まだまだいろいろある。例えば、合気道をより深くしるためには、合気道を勉強するだけでなく、合気道に直接関係ないものに目を通したり、勉強しなければならない。合気道の教えにないようなものを教えてくれたり、また合気道をより深めてくれるからである。読書、テレビ番組、新聞などに何か教えやヒントが無いかとを見ることも大事である。そのように注意を払っていると、不思議と向こうからも、ここにいいものがあるよと呼びかけてくれるものである。これもまた一つの挑戦である。

高齢者になると、日々刻々がこのような挑戦になる。高齢者はいろいろな挑戦で忙しいのである。