【第608回】  つながる稽古 その2

前回の607回「つながる稽古」の続きである。
前回は、①明日につながる稽古 ②未来につながる稽古 ③後進につながる稽古 ④天と地につながる稽古 ⑤あらゆる時間と空間につながる稽古等につながるように稽古をしなければならないと書いた。
つながる稽古にはもう一つあるようなので、前回の続きとして書くことにする。

合気道は日々精進し、上達していくものであるが、そのためにはいろいろなモノがつながり合い、結び合い、そして一つになっていきながら上達していくものと考える。
そのためには、先ずつながり合い、結び合い、一つになるべくモノを見つけなければならない。

つながり合い、結び合い、一つになるものは、はじめは一つ一つ独立しているから、それを一つ一つ発見し、技に取り入れ、身につけていくのであるが、それには次のようなものがあるだろう:

  1. まず、合気道の形:誰もがやっている、一教とか四方投げで、それの片手取り、両手取り、諸手取、正面打ち、突き、後ろ取りなどなどの形である。これに表裏、二人掛け、多人数取りなども加わる。相当な数になるが、もれなく身につけなければならない。
    初めは得意なモノ、不得意なモノと出来不出来があるわけだが、段々と自分の一番上手くできる形のレベルになってくるはずであるし、そうならなければならない。これが形が、つながり合い、結び合い、一つになるということだと考える。
  2. 体:体には五体があり、手でも指、手の平、手首、腕、上腕、肩、そして手先から胸鎖関節までの長い手がある。足でも腰、上腿、下腿、足首、踵、爪先等々がある。合気道で大事な肘、膝、肩甲骨、股関節などの関節もある。はじめはバラバラに働き、上手く働いたり、そうでないものもあるだろうが、段々、つながり合い、結び合、一つになって働いてくれるようになる。
    体には各器官同士のコミュニケーションがあることが分かってきている。体を信じ、体との対話をしながら、体が一つとして働いてもらうようにしたいものである。
  3. 技(形の中の技):陰陽、十字、円の動き、霊が体の上で先行などであるが、具体的な例として、片手取り呼吸法で十字の手づかいを身につけたら、四方投げでその十字の手づかいでやり、そしてすべての形(技)を十字でやるようにする。
    これが、技がつながり合い、結び合い、一つになるということだと考える
  4. 徒手の技を得物で:相対の稽古で身につけた技を、剣や杖の得物をつかってもできるようにする。陰陽、撞木足、腰の十字、腰・足・手の技づかい、気の先行、空の重い気を真空の気に結ぶ等‥で剣や杖の得物を遣えるようにするのである。
    これで合気道は、武道において、つながり合い、結び合い、一つになるということだと考える。これ故に、「合気道は武道の基である」と大先生がよく言われたことであると考える。