【第555回】  宇宙のいとなみを自己のうちにあるを観得する

合気道の修業の目標は宇宙との一体化である。それが具体的にどういうことなのかは、自分は修行途中故によくはわからないが、今のところ次のように想像する。
例えば、

それでは宇宙のいとなみを感得し、それを取り入れて、宇宙と少しでも一体化するのはどうすればいいのか考えなければならない。

その解答も開祖はわれわれに残されている。つまり、真の武道として、合気道を修業すればいいと云われているのである。そして、真の武道を修業すれば、「宇宙のいとなみが自己のうちにあるのを感得できる」(「武産合気」 P.48)と云われている。
 
合気道は技の錬磨の稽古を続けることによって精進する。つまり、技が上達すれば、宇宙との一体化への目標に近づくわけである。
その理由は、合気道の技は、宇宙のいとなみを形にしたものであるから、技を会得することは、宇宙の営みを己の身のうちに感得し、取り入れることになるからである。

宇宙のいとなみに則った技をつかうためには、まず、宇宙のいとなみに対応して働く体をつくらなければならない。十字に動く体、柔軟な体、宇宙の気(エネルギー)を十分満たせる体、宇宙のひびきを感じる体、遅速・強弱・大小・軽重に動ける体等である。

次に、その体を宇宙の営みに則ってつかわなければならない。つまり、宇宙の法則に則って、体をつかうのである。例えば、陰陽、十字、天地の息に合わせる等である。そのためにどのような稽古をするかは、これまで書いてきた。

体と息を法則に則って技を練っていくと、自己のうちに宇宙のいとなみがあるのを感得できる。はじめは少しの感得であるが、それが少しずつ膨らんでくる。

その感得したものが、宇宙のいとなみであるとどうして言えるかと云うと、まず、己の力以上の力が出て、己が驚くことと、相手も納得することである。そして、その技(陰陽、十字など)を、法則に則った体と体づかいを身に着けた後輩など、ある程度の実力があれば、誰がやっても同じような結果を出せることである。
これは後世のいかなる地域の人がやっても、同じ結果を出せるという、科学、宇宙科学ということになるだろう。

宇宙のいとなみが自己のうちにあるのを感得するよう、真の武道としての合気道を修業していかなければならないだろう。