【第554回】  六根を浄めるには

前回の第553回では「次の稽古は六根を浄める」を書いた。魄の稽古の次は、六根を浄める稽古に入らなければならないと書いたのであるが、それでは、六根を浄めるためにはどうすればいいのだろうか、という問題が残った。今回は、この問題、「六根を浄めるには」どうすればいいのかを研究してみたいと思う。

この問題の回答も、開祖は用意して下さっているのである。六根を浄めるために開祖は、「息を出す折には丸く息をはき、ひく折には四角になる。そして宇宙の妙精を身中にまるくめぐらし六根を淨め働かすのです。丸くはくことは丁度水の形をし、四角は火の形を示すのであります。丸は天の呼吸を示し、四角は地の呼吸を示す。つまり天の気によって天の呼吸と地の呼吸を合わせて技を生み出す。これが人のつとめであり、その上吾人には八百万の神々が悉く道に守護してくれることになっている。
天の呼吸との交流なくして地動かず、ものを生み出すのも天地の呼吸によるものである。武も妙精を腹中に胎蔵してことたまの呼吸によって科学しながら生み出していくのであります。
天の呼吸は日月の息であり、天の息と地の息と合わして武技を生むのです。地の呼吸は潮の満干で、満干は天地の呼吸の交流によって息をするのであります。天の呼吸により地も呼吸するのであります。」(『武産合気』P.76)

まず、開祖は、六根を浄めるには天の呼吸と地の呼吸をつかうことであると云われるのである。天の呼吸は、吐く息で丸い息で水の形をし、地の呼吸は、引く息で四角い息で火の形である。この吐く天の息と引く地の息で宇宙のエネルギー、気(妙精)を身中にまるくめぐらせて六根を浄めるのである。

次に、開祖は、「つまり天の気によって天の呼吸と地の呼吸を合わせて技を生み出す。」と云われているわけだが、六根を浄める天の呼吸と地の呼吸を天の気に結び付ければ技が生まれるというのである。

更に、「武も妙精を腹中に胎蔵してことたまの呼吸によって科学しながら生み出していくのであります」と云われている。
武とは、万有の生成化育の法(のり)にふして、万有の成長をまもる法であり、
汚れたものを祓い淨めること、であるが、吐く天の息と引く地の息で腹中に妙精を胎蔵すると武が生まれるというのである。

つまり、「天の息と地の息と合わして武技を生むのです」というように、六根を浄めるのは天地の息であり、合気の技を生み、武を生むものであるということになろう。武とは禊ぎであるから、武が生まれれば。六根も禊がれることになるだろう。
従って、天の気と結んだ天地の呼吸になる、合気道の武技の錬磨をしていけば、六根は浄められることになるわけである。