【第535回】  火と水の交流によって気が出る その2.理論編

前回は、「火と水の交流によって気が出る その1 実践編」ということで、「気」とはこのようなもので、このような効果があり、その「気」は、火と水の交流、つまり、横の引く息(火)と縦の吐く息(水)によってつくりだされるものだろうと書いた。
「気」を更に身につけ、増大、精製していくためには、更なる技の錬磨をしていくほかない。稽古が進めば、また、新たな発見があるものと期待するだけである。

さて、今回は、その2.の理論編である。ここには二つのテーマがある。一つは、宇宙規模での火と水の交流による「気」があることである。もう一つは、この宇宙規模での火と水の交流による「気」と己の火と水の交流による「気」との交流である。

開祖は、「この世界は火と水によって形成されており、その根源である一元の大神のみ心のもとに、火と水は動いている。また、一元から霊魂の源、物質の根源が生まれたのです。そして全大宇宙というものは、全部火と水にて一杯つまっている」と云われている。(「武産合気 P.109」
つまり、宇宙でも、火と水の交流によって、「気」というものをつくり、それが一杯つまっているというわけである。

次に、この宇宙規模での火と水の交流による「気」を、どのように己の火と水の交流による「気」と結びつけ、交流することができるかということになる。
これも開祖の「合気妙用の導き(水火の結び)」に学ばなければならない。開祖は、「呼吸の凝結が、心身にみなぎると、己が意識的にせずとも、自然に呼吸が宇宙に同化し、丸く宇宙に拡がっていくのが感じられる。その次には、一度拡がった呼吸が、再び自己に集まってくるのを感じる」と云われている。
つまり、火と水の息の交流により、「気」が心と体にみなぎると、己の呼吸が自然と宇宙の火と水の交流による「気」に結び、交流し、宇宙に拡がり、そして己に戻ってくるというのである。

従って、己の呼吸が宇宙と同化するよう、己の呼吸を凝結し、心身にみなぎらせる稽古をしていかなければならないことになるだろう。
開祖の理論を信じ、実践する、信行である。できるかどうかは分からない。挑戦しなければそれまでで、何も生まれない。挑戦するだけである。できるようになるかどうかは、いつも言っているように、才能と努力、そして運にかかっている。