【第506回】  オレオレ詐欺の真の罪

オレオレ詐欺は、日本全体の社会問題になっている。多くの高齢者が騙されており、その被害額も600億円に上るという。警察もマスコミもオレオレ詐欺を少しでも減らすべく一生懸命なようだが、被害は続いている。

おそらく外国では、このようなオレオレ詐欺など国家的な社会問題になることはないだろう。ここには日本の誇るべく、高度な文化故の問題があるように思う。それを合気道の視点で見てみることにする。

合気道の創始者植芝盛平翁は「この世を乱すことが一番の罪悪になる」(「合気神髄」)といわれていた。地上楽園・宇宙天国建設への生成化育を乱すことが最大の罪である、といわれているのだ。

つまり、少しでもよい世の中をつくるために、人や動植物など万有万物は代替わりしながら、生まれ、生きているわけだから、それを逆戻りさせることは大きい罪になるのである。人が信じ合って生きられるようになったのを、信じられなくしてしまい、まずは疑いなさい、ということになってしまうわけである。性善説から性悪説に逆戻りさせるのである。

日本はおもてなしの国であり、日本人は自分が多少我慢しても、人のために役立ちたいと思いながら生きている国民である。外国のように、自分を主張しなければ生きていけない国とは違うのである。国際線で外国から日本の空港に戻ると、ホッとするのはそのためであろう。おそらく日本に着いた外国人も、同じようにホッとするのではないだろうか。だから日本が好きになるのだと思う。外国も日本のようになってほしいと思っている訳である。

日本は楽園建設に外国よりも少し先を行っていて、住みやすい国である。それなのに、このオレオレ詐欺で大きく後退してしまった感がある。つまり、生成化育を大いに後退させ、阻害したのである。

合気道的に見ると、このオレオレ詐欺は確実にこの世を乱しているものであり、真の罪ということになる。決して許せない。