【第502回】  真の合気道の健康法

開祖は常々、合気道は健康法であり、健康によい、といわれていた。確かに合気道は健康によい。もし合気道の稽古をしていなければ、今頃は体が動かなくなって寝たきりになっていたり、昨日の事も覚えていない認知症になっていたかもしれないと思う。合気道の稽古のお蔭で、体も頭もまだ正常に機能しているようだ。合気道様々である。

入門当時から30、40才頃までは、実感していた合気道の健康法とは思いっきり暴れて汗を流し、筋肉や関節のカスが取れることであった。稽古の後の爽快さは万金に値するものだった。また、思いっきり汗をかくほど稽古すると、仕事などで悩んでいた頭も空っぽになるので、頭と心がすっきりする健康法でもあった。

50、60才頃になると、それまで疑問に思っていたことを何とか解決したいと思うようになった。さらに、頭も心もすっきりしたいと思ったわけである。例えば、自分は何者なのか、どこから来てどこに行くのか、何をすればよいのか、等々である。

その答えを与えてくれたのは、やはり合気道であった。それまで埃をかぶっていた『合気神髄』『武産合気』などを繰り返し々読むようになり、その中に解答を見つけていったのである。

それまでも、答えを見つけようといろいろな書籍を読んだり、人の話を聞いたりしたが、納得できる答えを見つけることはできなかった。合気道にはこのように、宇宙規模の問題や見えない世界の問題を解いてくれる教えがある。だから、さらなる頭と心の健康法であるだけでなく、人類のための健康法でもあるといえよう。

70才頃になって、ようやく少しずつ合気道というものが解ってくるようになった。つまり、合気の道に乗ったのである。それまでは、その道に這いあがろうともがいていたわけである。それからは、合気、道、合気道の求めるもの、そして合気の技などが、だんだん解ってきたのである。

この合気道の技が解ると、さらなる健康法になるだろう。つまりは、合気道の真の健康法である。

合気道の技は宇宙の営みを形にしたものであり、宇宙の条理・法則に則っているのである。この宇宙の営みの技を身につけることによって、宇宙と同化し、一体化していくのである。宇宙というのは、時間と空間に関係なく、過去現在未来や地域や人種に関係なく普遍的であるということである。いつ、どこで、誰がやっても、無理なく自然であるということである。

つまり、技を身につけていくことによって、理合いの自然で無理のない宇宙に近づいていくことになる。すると、体も心もどんどん宇宙に近づいて、健康になることになる。逆にいえば、法則違反をすれば、体をこわすなど不健康になるということである。だから、法則違反をしないように稽古し、生活しなければならない、ということになる。

法則を見つけ、身につけていく稽古をし、その技を習慣化すれば、健康まちがいないだろう。つまり、技を神業の業にするのである。

これが真の合気道の健康法ではないか、と考える。