【第499回】  筋肉の衰えを抑える

人の筋肉は25歳ぐらいをピークに徐々に減り始め、40代以降は急激に減少するという。普通の生活をしていても、1年に1%くらいの割合で減少するので、10年では10%の筋肉が身体から消えてなくなり、80歳代になると、20〜30代の7割程度まで少なくなるといわれている。

筋肉が衰えるとは、筋肉の繊維が細くなることと、数が減少することである。筋肉は使わないとどんどん衰えていくが、使えば使うだけ強く太くもなるという。だから、どんなに年を取っても、筋肉を使うようにしなければならない。

昔の若い頃に体を鍛えたので、筋肉の衰えなどない、と考えるのは間違いということになる。若い頃に合気道を一生懸命に稽古したとしても、稽古しなくなれば、筋肉はどんどん減っていくのである。毎日自分を見ている本人は気が付かだろうが、たまに会って見るとよくわかるものだ。

つまり、運動は生涯、続けなければならないのである。合気道も稽古しなくなれば、筋力はとたんに衰えるので、生涯続けなければならない。稽古を止める時には、その覚悟がいる。

だが、高齢者になっても、筋肉の衰えをおさえるために稽古を続けるという消極的な稽古ではなく、筋肉をいっそう鍛えたり、つくったりするような積極的な稽古もできるはずである。つまり、筋肉がつき、体重が増え、さらに体ができていく、という稽古である。

そのためには、合気道の相対での形稽古で、自分の最大筋力の80%ほどの力をつかうような稽古をすることと、そのような稽古を週に3回ほど続けることである。

さらに、一回の稽古で最大筋力を100%使う稽古を3、4分することである。これは、本部道場で教えておられた有川定輝師範がいわれていたことである。

次に、自分で自分の筋肉のプログラムを組み、毎日、その運動をやるのである。朝起きがけの寝床運動や、就寝前の柔軟体操、剣や杖の素振りや四股踏み、等々である。

私の場合は、筋肉の衰えは体重を計ればわかる。体重が減るというのは、筋肉の衰えである。下半身、特に太ももがそれを見せてくれる。太ももは人間の身体で筋肉が一番多くあるところなので、その分、減りも速いわけである。

体重が減るのを防ぎ、また筋肉が衰えないようにするには、合気道の道場に通い続けるとともに、自主稽古を毎日続けたり、同時にたんぱく質など筋肉のための栄養ある食べ物を摂取し、十分な睡眠を取ることにも注意することであろう。